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劇場版『きんいろモザイクThank you!!』感想 / 日常が終わるということ

※普通にネタバレしてるので注意

 

日常もののアニメって、アニメの2期が終わったあとになんの展開もなくても、そこに「終わらなさ」がとても強い濃度で提示されているから安心できるわけで、それがここまで明確に「終わりですよ〜!」と提示されてしまうと、妙に寂しい気分になってしまうものだ、常にコンテンツを追いかけているわけではないのに、ここまで寂しい気分になってしまうのは、この映画が日常ものの完結を描いた映画にほかならない。

俺が日常ものが好きなのは、世界が終わらないという保証があるからだと思う。終わらない世界で描かれる交流は、優しいし守られている。そんな世界が、終わる。なぜだかそれを見届ける俺まで殊勝な気分になっていた。

それにしても、アニメの二期が終わってからもう5年も経っているのか。当時の俺は高校生で、ニコニコ生放送でやっていた一挙放送をみたり、なぜか謎の有料配信サイトでしか配信されていなかった声優さんのラジオを聞いたり、店舗特典を買いに学校帰りに横浜駅ゲーマーズが入ってるクソ狭い雑居ビルの階段を上り下りしたりしていた。お〜い!当時の俺〜〜!!5年後の俺はゆるゆりにめちゃめちゃハマってるよ〜〜〜!!

それにしても、高校生活の終わりに対する態度の真摯さは日常ものの優等生ぶりがよく出ていたと思う。悪く言えばベタだが、ここまで真摯に受験とか、卒業を丁寧に描いているとこっちも本気でそれに向き合おうという気になれた。
まあ、序盤と終盤の展開はやや予定調和と言えなくもない。修学旅行も受験も、あまりに王道の展開だ。他の凡百の日常ものがそれをやっていたら退屈だが、きんいろモザイクというブランドだからこそ成立した構成と言えるだろう。

個人的にかなりぐっときたのが中盤各々が自らの進路を決める過程の心境の描き方で、着物を着た忍がアリスの英語の意味を理解して自分の思いを伝える場面は、これまで浮世離れした女の子として描かれていた忍が、他の子の気持ちに寄り添いつつ自らの意思を示すことができる人間として成長することができたシーンとしてとても意義深いように思えた。

と言っても劇中もっとも成長したのは他でもないカレンだろう。忍もアリスも、綾も陽子も、高校を出ても結局はお互いでお互いの居場所を守ったのに対して、最初はアリスを追いかけて日本に来たカレンは、アリスも穂乃花もいない場所を自分で選んで、そして勝ち取ったのだ。やっぱすげえなあ、カレンは……(しみじみ)。

やっぱり、各々がそれぞれ悩んで、それぞれ違った進路を見つけるというのがこの映画の最大のテーマで、それはきんいろモザイクの終わり方としてとても素晴らしいものだと思う。国境を超えて交流した女の子たちが、また別々の場所に羽ばたいてゆく。こんな健やかで眩しい青春を見せてくれてありがとう。
それしか言うことはありません。
あ、そういえば。エンドロール後の演出がマジですごかったのでそれだけでも見る価値あります。
それでは。