鼻紙diary

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日記10/24~29 ⑤

スタジオ練が終わったがまだまだテンションの高い俺とヨシカワは、電話で高校時代の友人魚雷くんを呼び出すことなった。魚雷くんは明日はバイトだと渋っていたが、「新宿ならいいよ」などとほざいていて「いや、交換条件が緩すぎるだろ」と二人で爆笑し、爆笑したまま小田急線に乗り込み深夜の新宿へ。新宿、俺が好きな街だ。下品なネオンと清潔なオフィス街が隣合わせになってるのが、人間の欲望を体現しているようだし、どこまで行っても街が続いているし、うまいラーメン屋は多いし、何より薄汚い。俺は薄汚い街が大好きなのだ、結局。

魚雷くんは歌舞伎町のゲーセンにいるというがそのゲーセンはすでに閉まっていて、ドンキ前で途方に暮れていると(この時、なぜ電話などをしなかったのかは全く覚えていない)クソデカいドブネズミがコソコソと俺の目の前を通過した。そんなデカい図体してるんだからコソコソせず堂々と俺の前を通れ!!そんな態度だからドブなどという名前をつけられるんだぞ!!!!げっ歯類に対し説教を垂れていると魚雷くんが現れた。魚雷くんは俺の知る限り最も勉学に類する活動が嫌いな男で、浪人時代に自習室で勉強した時間は合計で10時間に満たない(たぶん)。近い未来に勉強星人が侵略してきて地球人類に「死か勉強か」という二択を迫るやいなや人類で一番早く死を選ぶだろう。知らんけど。彼は大学生となった今でも留年と日々の愉悦を天秤にかけては愉悦を取る日々を送っているらしい。それに関しては俺も人のことを言えた立場ではないので深い言及は避けておこう。

魚雷くん、「金欠だから無理」が口癖の万年金欠体質に加え、最近はスロットに金を溶かし果てているらしく完全に「終わり」への道を歩み始めているがこの日は給料日の後らしくわりと金はあるらしい。歌舞伎町の汚い客引きに悪態をつきつつペイペイの使える安居酒屋を探す。なぜペイペイの使える店を探しているのかと言えばヨシカワこと最悪の人間がマジで最悪なことに親のペイペイこと『無限の富』を所持しているからであり、それを利用しタダ飲みをかまそうという話なのだ(なぜなら、無限からいくら引いても無限だからである)。

幸い、セガの上にある白木屋がペイペイ対応ということで滑り込むように入店、バカな学生どもの汚いコールを尻目に静かに、ただ静かに飲む。俺たちも汚い大学生であることに変わりはないがそこらでのたうち回っている大学生とは確実に違うという選民思想を保持した一番たちの悪い大学生だ。何を話していたかなどは残念ながら全く覚えていないが記述に値する話など一ミリもしていないはずだから大丈夫だろう。ここで、唯一覚えているのは………とエピソードのひとつでも書こうと思ったが、マジで覚えてない。トイレが汚かったことくらいか。

午前四時ごろ、眠りこけるヨシカワを叩き起こしペイペイで支払わせる(ちなみに、ヨシカワはいくら爆睡していても「寝てた?」と聞けば必ず「寝てない」と返す。挙げ句のはてには俺は人生で一瞬足りとも寝たことがないなどと言うようになる。哀れだ)。ヨシカワは「ヒトリヨンセンエン」など訳のわからない言語を念仏のように繰り返していたが正直何をいっているか全くわからない。歌舞伎町を離れ西新宿のオフィス街を散歩する。西新宿といえば俺と魚雷くんが京大向けの講習を受けにいったことで有名な河合塾新宿校がある。河合塾新宿校のトイレにはなぜかウォシュレットがなく、ウォシュレットを求め毎日のようにさまよっていたお陰で俺はこの辺りの地理に明るいが、特に役に立ったことはない。なぜ京大の講習を受けたかは、聞かない方がいい。

都庁に意味もなく中指を立てつつ中央公園へ。飲み明かした大学生に思想はない。空は白み始めている。鳥のさえずりが聞こえる。かなりふざけた時間帯だが公園にはそれなりに人があるいており、眠らない街は伊達ではないことがわかる。ヨシカワは俺が走っていいぞと言うと子犬さながら公園じゅうを駆け回っていた。恐らく脳に回すカロリーが余っているためここまで元気なのだろう。始発の時間は近い。ルミネを横目に駅へ。南口はもはや人に溢れている。俺たちは大した別れの言葉も交わさずに、別れる。