鼻紙diary

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日記10/24~29 ②

10/25、昼過ぎの起床。実家の風呂が広すぎる。これもうワンピースの正体実家の風呂だろ……などと思いながら支度をし、一路横浜駅へ。横浜駅、随分と小綺麗になったらしく俺たちの愛した薄汚い横浜駅は最早過去のものになってしまった、と思ったが相鉄口の方は相変わらずアンモニア臭で充満しており、煤だらけの壁の雑居ビルと煙を吐き出す高島屋、ゴミが浮きすぎてる濁った川、下品なネオンに無限に落ちてる吸殻と大量の鳩とカモメそして異常にスカート短いjkとジャージのDQNと酔っ払いだらけの終わった町だった。そうそう、コレコレ~~~🤗🤗などと心なしウキウキしつつ友人の到着を待つ。高校時代の友人Jは日本で一番有名な大学の工学部に通っており、会うたびに痩せていくという特徴を持つオタクだ。彼とは高校時代に二人で同人誌を出したり色々なアニメの舞台を見に行ったりフィリピンで食中毒になったりした仲で、誕生日が4日しか違わないことを利用して毎年この時期に祝いあっている。

横浜駅のデパ地下でホールケーキを見繕い、誕生日おめでとうのプレートに名前を入れてもらうなどする。冷静に考えると中々キモいが毎年やってることだから仕方ない。彼とは中学二年のころに遊戯王を通して仲良くなった。今年でふたりとも21なので、人生の三分の一を友人として過ごしたことになるが、そう考えると感慨深いような、感慨深くないような気がする。俺はこの21という年齢がかなりヤバイと以前から思っており、20と21ではその数字から感じられる重みが実際の数値の差よりも大きい気がしてなら無いのだ。

家に帰ると母親がディナーをつくって待っていた……などということはなく、「オラオラ早くババァ飯!?」などと最悪の悪態をつきながら実家のクソデカいテレビでYouTubeを見たりする。これもうワンピースの正体実家のテレビだろ……。ちなみにふたりともオタクなのでVtuberがすき。Jはシスタークレアがすきらしい。オタクキメ~~~。その後シャンパンなどを呷りつつ生ハムや大量の具材が入ったグラタンといった普段の俺の生活からは思い付きもしないようなランクの食をむさぼっていると、明らかに「風邪の体調」になっていることに気づく。思えば昨晩の夜行バスから喉がおかしかった……体温計で測った体温は37.2℃、これくらい酒を飲めば治るという母親及びJの意見を全面的に支持しシャンパンなどを飲むなどする。

その後、恒例のプレゼント交換へ。冷静に考えると中々キモいが毎年やってることだから仕方ない。俺は一日中パソコンに向かっている友人のためにUSBで給電できる電熱式のアイマスクをプレゼントし、詩子さんのTシャツを貰った。オタクキメ~~~。

夕食後、折角だから何かしようということで二人で実写版『Another』を観る。Amazonレビューの惨状からも明らかなようにまごうことなきクソ映画なのだが、俺はそのチープさが好きすぎて三回も見ている。俺は頭がおかしいのかもしれない。この映画は尺の都合と演技の拙さによって狙っては出来ない勢いのよさが現れており、俺はそれが大好きだったがJは終始無言だったような気がする。

宴もたけなわ、少し将来の話などをするが俺は将来のことなど屁ほども考えてないせいで終始「へ~」と「ふ~ん」しか言わなかった。彼は日本で一番有名な大学の工学部に通っていることもあり色々スケールか大きい話をしていた。工学部、それも機械系となると完全な男社会らしく、大学時代に話した異性は片手にも満たないらしい。それゆえ発生する悲しい事故(話しかけられても、「すいません」しか出なかった、など……………)の話で爆笑した。突発的に出てきた「すいません」のことを彼は初手ヴェーラーと言っていた。強謙握れるくらいには頑張ってほしい。

来年は深センに行こう、行って全身IT人間に改造して貰おう、などと話していたら気づいたら就寝。単純に俺の体調が悪すぎたためにそこそこ早く寝た気がする。

来年は深センで会おう。

俺は関空から、君は成田から

 

 

日記10/24~29 ①

10/24。夜の梅田を全力で走っていた。高校の友達とお互いの誕生日を祝い合うために割と急に帰省することになった。冷静に考えると男ふたりでそれをやるのはかなりキモいが毎年やってることだから仕方ない。去年も俺の方が出向いて祝い合った気がするが細かいことはどうでもいいので即決で夜行バスを予約した。終わってる文系大学生が誇れることはフットワークの軽さと睡眠時間の長さくらいなので、週末にいきなり帰省するくらい屁でもない。そういうわけで、クソ重いボストンバッグを肩にぶら下げて夜の梅田を全力疾走していた。なぜ疾走するハメになってるのかといえばそれは夜行バスに遅刻しかけているからであり、なぜ夜行バスに遅刻しかけているかといえばそれは俺が時間にルーズだからである。この日は部活が終わったあと後輩と自宅でウィクロスをやってたからなんだが、気づいたら時間がかなりヤバくなっていた。後輩はまるで責任が自分にあるかのように謝ってきたが、完全に俺が悪いからどうしようもない。代わりに俺が今後あらゆる待ち合わせに遅刻しても怒らないでほしい。

韋駄天と化した俺の駿足によりバスにはギリで間に合った。夜行バス、俺はそこまで嫌いではない。酔い止めをのみながら思う。安いとか、時間が有効活用できるとかは二の次にしても、あの雰囲気がいいと思う。何らかの夢や期待を胸に東京に向かう人々は各々が絶対に目をあわせようとしない。バスが出発するやいなや俺はイヤホンを付けて目を閉じる。何より、夜行バスほど音楽鑑賞に集中できる時間はない。今週は祝日などもあり俺の生活リズムは完全に崩壊しており夜行バスの乗車時間は生憎俺の睡眠時間とは合致していなかった。暗闇の車内で、俺は昔好きだった音楽を聴いた。昔好きだった音楽には色々なものが内包されていて、忘れかけていた思い出や感情、匂いがよみがえってきた気がした。俺はその思い出がつまった場所に帰って、思い出がつまった人たちに会いに行く。だから、俺は夜行バスが好きなのかもしれない。

朝5時過ぎ、バスは横浜へ。空は暗く、引くレベルの大雨。夏休みに帰省したときも大雨で、俺はつくづく雨を呼んでいる。雨は普通に嫌いだ。濡れるし。何はともあれ、この週末はヤバくなる予感がする。そう思いながら眠い目を擦り日記を書く。

 

 

【嘘の思い出】線香の匂いがする先輩の話

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文化祭の前日だった。

文化祭の準備で走ってる奴が嫌いだ。

そんなことを考えながらの、歩行。

もしかしたら皆さんも文化祭の一日前にせっま~い学校の敷地内をお駆けになっていたかもしれない。それ、走る必要ありましたか?

お前らの用事は走らなくても間に合うぞ~!って走って追いかけて教えてあげたい。あとトランシーバみたいな機械で話してる奴らにも、それLINEでよくね?って教えたい。それLINEでよくね?どうぞ。

 

出た出た、これだから陰キャさんは……どうせ文化祭で充実してる人たち見て僻んでるんでしょ?確かに、彼らへの僻みが無かったとは言わない。

何ならあった。俺も制服でディズニー行きたかった。いや行きたくないな。たぶん俺が行ってもトゥモローランドのゲームコーナーで一生アフターバーナーIIやってるだけだから。え、もうあのゲームコーナーないんですか?

 

とにかく、俺たちが校内を駆け回る奴らに抱いていた感情は僻みというより萎縮だ。中学時代の文化祭(これはマジで申し訳ないんだが、中学生のころの記憶が断片的過ぎて何年生のエピソードか覚えていない)、クラス中が一丸になってお化け屋敷の準備をしてる中俺は段ボールを持ったり持たなかったりして運んでる感じを演出し一日を過ごしていた。文化祭当日は仕事のない時間はずっと図書室で灼眼のシャナを読んでいた。

普通に、輪に入って準備に参加できないことが申し訳なかった。俺よりも割りきった考え方の奴は文化祭の一日前に学校に来なかったんだろう。中途半端にプライドと孤独の耐性がないやつがひたすら萎縮してた。たぶん、一生こうなんだ俺は………………。

 

ただ、高校一年の文化祭だけ、めちゃくちゃ覚えている。覚えすぎてて、あれから10年経過した今でさえ夢に見るし、線香の匂いがするたびに、思い出す。線香の匂いがするたびに。

 

高校一年生の俺は焦っていた。飾らずに言えばイキっていた(ちなみに高校デビューは普通にミスり、クラスの中心から一歩遠ざかった集団に属していた。人はそれをキョロ充という)。

まだ暑さの残る九月の初めだった。確か、夏休みが終わって数日もたたない頃で、高校は文化祭の準備で俄かにざわついていた。文化祭は九月の初めにあって、おれはそこで何かしてやろうという根拠のない衝動(それは、十代特有のものだということに最近気づいた)が渦巻いていた。具体的には彼女が欲しかった。それはもう、めちゃくちゃに。

 

思うのだが、高校一年ほど彼女をつくりたいし、しかもできる期間はない。だからここでガチればクラスの中心から一歩遠ざかった俺でも彼女ができる気がした。しかも学生が浮足立つことで世界的に有名な文化祭だ。逆にここで無理だったら一生教室の隅で緋弾のアリアを読もうと思っていた。

 

そんな、夏の終わりの、事件。

文化祭の前日だった。

文化祭の準備で走ってる奴が嫌いだ。

そんなことを考えながら、歩行。(ここで冒頭に戻ると理論上永久にこの文章を読めます)

 

前夜祭の最高潮にクラスメイトの高木さんに告白しようと思っていた。事前情報によれば高木さんに彼氏はいない。理科の実験で同じ班だった時に結構話したし。根拠のない衝動が渦巻いていた。

 

そんな、夏の終わりに、事件。

よりにもよって廊下の曲がり角で。

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衝突。硬さと柔らかさが複雑に入り混じった感触。舞い上がる折り紙で作られた飾り的なやつ。そして強烈に鼻腔に流入する線香の匂い

体幹が終わってる俺は自分でも引くくらい後方に飛んで、なぜかキモイ姿勢で着地した。

俺と衝突した知らん女の先輩はその場に尻もちをついて「いたた……」とでもいった風に腰をさすったりしている。

これはあれか??!!平成ラブコメ元年か??!!(意味不明)

ラノベの読みすぎで脳が狂って4DXの幻覚が見えたのかと思ったがそうではないらしい。

始まってしまうのか?すまん、高木さん……(高木さんはこの文章に二度と出てこないので忘れてください)。

いや、待て。この女の先輩も廊下を疾走していたに違いない。ということはこのひとも「そっち側」か。この世には二種類の人間がいる。文化祭の準備で走る奴と、文化祭の準備で走らない奴。この両者にある溝は君たちが思っているよりも大きい。

立ち上がった女の先輩は俺よりデカかった(当方165cm)。

そのうえ異様なほど長い真っ黒な髪の毛は腰まである。

長い前髪で半分隠れた瞳のびっくりするくらい透き通った茶色と、口唇の薄い紅色。

足腰は折れそうに細くて、地味なセーラー服から露出して視認できる肌は猟奇的な白さ。

足元にはひらひらした折り紙で作られた飾り的なやつが散る。

その光景はまるで……なんだ……夏野霧姫(俺はラノベの読みすぎで脳が狂っている)?

「こんな人いたっけ……」ビジュアル面の強さのせいで衝突したこと自体は吹っ飛んだ。

霧姫は少しだけ申し訳なさそうな顔をしながらこっちに近づいてくる。デカい……

俺をやや見下ろすような姿勢でこう言われた。

「痛かったねぇ……?」

どの立場なんだ……?

理解が追い付かない。

「だ、大丈夫っす」絞り出す。

「怪我無いか見るから」ちょっと来て、

霧姫は俺の右手首を引っ張って駆けだした。いや、駆け出すのは状況的におかしくないか?

「いや、ほんとに大丈夫ですから」

俺の言葉も聞かず霧姫は廊下を小走りで駆け続けるし、足元のひらひらした折り紙で作られた飾り的なやつは床に完全に放置されていた。あれはなんだったの。そういう演出?

「ここ」

と、部室棟三階のPC部と囲碁将棋部に挟まれたちっさい教室に掲げられたプレートには

文芸部

うちの高校に文芸部ってあったか?

「本当になんもケガとかないんすけど…」

一応抵抗してみる。

「いいから。とにかく」

が、結局謎めいた迫力に負けて部室に上がらされた。

部室には何もなかった。やけに細長い。細長い教室に細長い机とパイプ椅子が設置してあるだけ。本棚すらなかった。長門有希の部室ですら本棚はあったぞ。ただ壁に忍耐と書かれた掛け軸が飾ってあった。これに関しては完全に謎。ノイズを設置しないでくれ。

 

「ほんと痛かったねぇ……?」

霧姫は俺をさび付いたパイプ椅子に座らせると俺に覆いかぶさるような姿勢で俺をまじまじと見つめる。線香の匂いが鼻という鼻をくすぐる。俺はどうすればいいんだ?俺は、俺は……

エッッッッッッッッッッッッ!!!?!?!?!???????

すいません、えちえちセンサーが作動してしまいました(このとき顔と顔とが近距離で向かい合っていたのだが気まずさが気まずさとかそういう次元を超越しているのでずっと薄ら笑いを浮かべたまま斜め右上の虚空を見つめていた)

一通り俺を眺めつくす(ケガがないか確認したのか?)と霧姫は満足げに立ち上がって部室の窓を閉めにいった。晩夏の少し湿っぽい風は遮断され、途端部室の空気は淀む。

このままネットワークビジネスの勧誘を受けてもギリ理解の範疇だったが(これは完全に余談だが、以前ゲーセンで格ゲーをやっていた時に親し気に話しかけられたと思ったら宗教の勧誘だったことがある。みんなも気を付けよう!)。

「アイスティーしかなかったけど、いいかな?」

え…………?まずいですよ!せんぱぁい(中川圭一)!

「いやっ、もう大丈夫なんで…」

「アイスティー、嫌いだった?」

「そういうわけじゃないですけど……」

「ちょっとまってて」

「…………」

そういうと霧姫はどこからか飲みかけのアイスティーのペットボトルを取り出し俺に差し出す。

「これ……先輩のじゃないすか」

「うん。私はいいから」

そういう問題か?ここで俺が彼女を先輩と呼んだわけだがそれは他に適当な呼称がなかったからで、後にも先にも彼女を名前で呼ぶことはなかった。

何故か引き下がれない雰囲気が出てしまったので、観念してペットボトルに手を伸ばす。地獄のようなティータイムだ。地獄の放課後ティータイム(正確にはまだ昼前である)。

「じゃあ……いただきます」

「うん」

こちらを見ている。まじまじと。全神経が口元に集中しすぎて、飲み口に唇を付ける際に舌が先行しすぎてキモイ感じにねぶるようになってしまった。幸か不幸か、彼女の表情は全く動かない。

「何年生?」

うわ。この状況で会話するのか……?

「1年です」

「部活とかやってるんだ?」

「いや、帰宅部ですけど」

「へえ、一緒だね」

(じゃあここは何?)

「彼女とかいるでしょ?」

「いや、今はいないです、今は」

「ふーん、そうなんだぁ」

意味深な微笑みに線香の匂いが混じり、くらくらする。

「あのねえ。キミも学生なんだからさ……」

そのとき、風が吹いた。ように感じたが正確には俺の携帯が鳴った。

俺は普通に電話に出ようとした。何しろもう何十分かわからないが結構な時間クラスに戻っていないのだ。

しかし電話には出られなかった。

「だめ」

彼女の両手で俺の右手と携帯が接着された。強い力は込めてないはずなのに、俺の手は全くもって動かなくなってしまった。

その手はほのかに暖かくて、めちゃくちゃ細いのに、めちゃくちゃ柔らかくて、そのまま時間が止まった。空っぽの部室に俺の携帯の着信音(デフォルトで入っていた少年時代のオルゴールバージョン)が鳴り響いている。半径1メートルの中で世界が完結し、収束していた。この間、俺が呼吸をしていたかどうかは定かではない。ただ、その時にも確かに俺の嗅覚は線香の匂いを知覚していたから、恐る恐る鼻呼吸を試みていたのだろう。

彼女はよくわからないほど大きな瞳で俺をじっと見据える。誰のあこがれにさまよってんだ?俺は。

ザ・ワールドは少年時代の演奏が終わるのと同時に解かれた。

 

「あの、もう行かないと」

「うん。またね」

意外なほどあっさりと俺は解放された。

そのときの俺はクラスでの自分の立場を異常なほど重視していて、クラスでの居場所を失うことが死ぬより嫌だった(ちなみにこの後俺はクラスの中心から少しずつ自動的に遠ざかってゆき、物理的にも構造的にも俺はクラスの最外殻を構成することになったのは言うまでもない)。

そう考えるとあの時俺があの部室に残り続けていたらどうなっていたのだろうということは今まで779万回は妄想したし、この先も∞(インフィニティ)回は妄想するだろう。

 

それから、あの先輩とは会っていない。噂だと、文化祭の前後に急に転校していったらしい。聞いた話では、彼女はいつも一人でいるタイプの生徒だったらしく、彼女と会話したことのある人間はほとんどいなかった。じゃあ俺に見せたあの姿はなんだったんだ?未だによくわからない。

そもそも先輩は文化祭でなにをしようと思ってたのだろう。なぜ彼女は文化祭の準備で走っていたのだろう。なぜ文芸部の部室に?これは小説ではないのでそこら辺の伏線は回収されません。というか普通に誰か教えてくれ。もしかしたら、彼女も文化祭で変わろうとしていたのかもな。知らんけど。詳細キボンヌ(2009年のVIP)

 

結局、そのあまりに強烈な体験をしてしまったあとに告白などできるはずもなく、俺は残り二年半の高校生活を教室の隅でゼロの使い魔を読みながら過ごした。

文化祭が終わった後で文芸部の部室をのぞいてみたが、そこには誰もいなかった。

興味本位で掛け軸を捲ってみたら、真ん中にZZ(ダブルゼータガンダムのシールが貼ってあった。

もしかしたら霧姫が貼ったのかとその時はなぜか思って、シールをはがし大切に保管していたが、気付いたらどこかにいってしまった。

彼女の痕跡は何もかもなくなってしまったが、線香の匂いがするたびに思い出してしまうのだ。

俺の灰色の人生の中で、あの一瞬だけが鮮やかに再生される(YAZAWAプレモルのCMみたいに)、というのはさすがにキモ過ぎて死にたくなってきたな。

 

おわり

 

 

 

【報告】サイト作りました

こんにちは、皆さんインターネットやってますか?俺はやってます。

ある人から、自分のサイトつくったら?と言われたのでがんばって作りました。

↓↓↓

www.yakantsuyoguchi.xyz

 

以降、このブログの主体だったオタク語り記事はすべて夜間通用口のほうに移行することにして、こっちの鼻紙のほうはかなり個人的な日記にしようかな、と思っています。

通用口のほうもブックマークしてくれると非常にうれしいです。

今までこのブログに記事を寄稿してくれたZXEくんもこれからは通用口のほうに記事を書いてもらうよう頼んだので彼の記事を楽しみにしてた方もブックマークしてくださいね。

他にも何人かの知り合いに記事を書いてもらうよう依頼しているのでそちらもぜひ楽しみにしてください。

 

踊ってばかりの国で、音楽の少しまじめな話をしたい

こんにちは、皆さん音楽聴いてますか?俺は聴いてます。

ところで皆さんは「音楽の良さ」ってなんだと思いますか?何をもって音楽を良いと思いますか?

 


あいみょん - マリーゴールド【OFFICIAL MUSIC VIDEO】

この曲はいいですよね、歌詞にインパクトがありますし、サビは耳に残るキャッチーさがあります。だがこの曲が嫌いな人もいるだろう。あからさまに強調されたメロディはカラオケで歌うために作られているようだし、わざとらしく共感を得ようとする歌詞は占い師の胡散臭い語りのようだ、と。

 


MARUOSA モンスターズ・ハイ!!! - Monsters High!!!

俺はこの曲が大好きだ。行き詰まった夜に爆音で聴くと最高な気分になれる。でも多くの人はこの曲をグロテスクな騒音として捉えるだろう。

かつて岡村靖幸は言った。音楽って いい/悪いじゃなくて。好き/嫌いでしかない。これはまさしくその通りだと思っていて、結局は音楽とは各人の好みでしかないと思う、マリーゴールドに感動して泣く人には何の嘘偽りもないし、MARUOSAが大好きだと言ってもそれは正しい。そこには正しさしかない。音楽には常に正しさだけがある、と思っている。だから俺は全ての音楽を作る人を尊敬しているし、全ての音楽を作る人を心から応援している。もちろん、俺が嫌いな音楽を作る人も。

 

とはいっても、ある程度の範囲において音楽の良さは定義できるとも思う。古代ギリシャと古代中国においてほぼ同時期に純正五度の和音に依拠した音律が形成されたのは偶然ではなく、純正五度の和音が人間にとって最も心地よい和音であるという客観的事実に基づいた必然だ。和音の美しさは決して主観ではない。

俺がそんな遺伝子レベルで刻み込まれた音楽の良さに最も接近していると思う音楽のひとつが、踊ってばかりの国の音楽だ。

 


踊ってばかりの国『光の中に』 Music Video(2019)

極限まで削ぎ落とされた音数はまさにその洗練され尽くされて音楽の原初に立ち返るようなメロディを引き立てることに終始しているし、そのメロディ自身もはっぴぃえんどによって再定義された音楽におけるメロディの重要性(さらに振り返ればそこには後期ビートルズの影をも掴むことができるのは言うまでもない)をそのまま抽出し持ち出している純粋さを有している。

現代にあふれかえる音楽は極めて雑多で、音圧がすごくて、歌詞は強くて、何がよくて何が悪いのかをよくわからなくしてしまう。対してこの曲はものすごいシンプルだ。いまのヒットチャートがビッグマックセットだとしたらこの曲は湯豆腐だ。

ちなみに俺は何でもかんでもはっぴぃえんどに結び付けて邦楽を語る風潮は正直どうかと思っている…踊ってばかりの国に関してはっぴぃえんどの影響を避けて通ることはできないだろうが、明らかにサイケを経由していない現代の邦楽ロックまではっぴぃえんどの影響が…と語るのはいささか早計でないか

 

ところで、俺は邦楽ばかり聴く。そこにはちゃんと訳があって(もちろん邦楽ばかり聴いて育ってきたというのはあるが)、俺が日本で生活してきたからだ。それはナショナリズムではなくて、


踊ってばかりの国『ghost』Music Video(2019)

この曲には日本で育ってきた人間にしか感じとれない微妙な情緒、感情の機微があると思う。歌詞にも、演奏にも。これは言語化が非常に難しいが、とにかくそこには何かがある。つまり、ある曲の良さが100あるとして、その内丸々100良さを理解できるのその国の人間だけなんじゃないか。と常々思っている。

 


The Beatles - Don't Let Me Down

この曲は俺にもめちゃくちゃ良いというのがわかるが、たぶん英国で育ち英国の文化を無意識に取り込み続けた人間には俺には感じとれない良さがめちゃくちゃあるんだろう。

だから俺は積極的に邦楽ばかり聴く。すこしでも多く音楽家の意図した音楽の良さを感じ取れる。かもしれないから。

だから、例えば国産シューゲイザーを聴いて「こんなのマイブラ聴けばいいじゃん」と言うのは的外れなんですよ。たぶん。

だいぶ話がずれてしまったが、俺が言いたいのは、踊ってばかりの国の音楽は日本的な情緒に溢れている気がするということ。そこには邦楽の文脈を的確に捉えた音楽への敬愛を感じるし、それをリスナーに咀嚼して分かりやすく提示するメッセージもある、ということ。それは、客観的にみても明らかな「音楽の良さ」だと思う。

普段から色々な音楽を聴いているひとは時折音楽の何がいいのかがよくわからなくなってくることがあると思う。そういう時は究極に洗練されたこのバンドを聴けば、日本産のロックを聴くことの意味、ひいては音楽を聴く意味がよくわかってくると思います。

以上です