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備忘録β 地下室タイムズとは何だったのか

みんな大好き地下室タイムズが最近めっきり更新されてない。石左氏のやる気が~~とか訴訟が~~とか色々言われているがとにかく事実として更新はここ一年まったくといってない。最後の投稿も去年梅田でやったライブの告知だしな。というかあのライブは最高だったな。ほんと

で、このウェブメディアが日本のインディーロック界隈に与えた功罪は計り知れないほど大きいと思っていて、ちょうど欧米圏におけるピッチフォークとまったく同じような役割を(邦楽ロックという領域に縮小して)果たしていたように思う。インターネットの時代でこれまでテレビ番組や音楽雑誌が担っていた音楽の評価付けという行為を(特に若者層に対しては顕著に)このサイトが代わりに担うようになっていって、ある意味で地下室タイムズは権威化していた。権威じゃなかったら訴訟なんて起こされないし。

ピッチフォークの権威は2015年ごろを境にして徐々に衰えていくんだけど、それと同じ現象が地下室タイムズにも起きていたのだと思う。

ピッチフォーク凋落の原因として、①欧米で急速に普及したストリーミングサービスは音楽の見つけ方を抜本的に変化させてしまい

、従来ピッチフォーク利用者の主体だった高い音楽リテラシーの持ち主はもはや音楽の紹介者としてのウェブメディアは必要しなくなってしまったこと。②ピッチフォークは2015年に大手出版社に買収され「商業化」した。かつてのような尖った方向性は鈍り(もちろんそれは、欧米で先進的であったポリコレの反動でもある)、マスメディアと迎合的になった。

つまりこれと同じようなことが地下室タイムズでも起こっていたわけで、①欧米に比べ数年遅れ日本でも普及したストリーミングサービスが、国内でも高い音楽リテラシー層の音楽の探しかたを変えてしまったことと、②地下室タイムズは独自のCD販売路を構築したり、ライブを主催するようにして、周囲のバンドをいわば「お抱え化」したこと。邦楽ロックという狭い界隈のさらに狭い領域を囲い込んで商業化に舵を切ったことで、地下室タイムズは極めて閉鎖的なコミュニティになってしまった。CDなんて正しく過去の遺物、なわけで(もちろんストリーミングに乗らないようなバンドを発掘するという意味では大変意義深いが、そういったバンドは得てしてリスナー層もめちゃくちゃ限定的だ)。そして国内でも一般的な音楽リスナーの傾向として過激な論調を好むものは少なくなっていたように思う。

ピッチフォークが近年一部のUKラッパーに対して特異的に高い評価を与えているのと同じようなことが地下室タイムズでも起こっているということ。

 

要するに、メディアとして音楽を紹介するという形態は(それがインターネットカルチャーに基づいた多少過激でキャッチーなものであったとしても)完全に時代遅れになったしまい、それを自覚的かどうかはわからんが感知した石左氏はこのメディアから離れていったのではないだろうか。

 

ただ俺が言いたいのは地下室がお抱え化したバンドはどれもめちゃくちゃいい。この時代の空気感を的確に表現できるバンドばかりを集めていると思う。俺は好き。

もう少し、追いかけようと思う。

おわり