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2022年聴いてよかったアルバムを10枚選びたい

こんにちは、皆さん今年は音楽聴きましたか?俺はそこそこ聴きました。良かったアルバム10枚集めたので、順不同で紹介します。みんなも良かったアルバムがあったら俺に教えて下さいね

 

① ハネダ!ハネダ!ハネダ!/ SUNNY CAR WASH

悲しすぎて最後まで聴けなくなるラストアルバムは俺の中に何枚かあるんだけど、このアルバムはまさにそれで、いっつも#13キルミーで聴くのをやめてしまって、#14それだけに辿り着けない。再録が多めのまさに今までのサニカーの歴史を凝縮したようなアルバムで、その中でも#11ダーリンは比較的最近の曲なのだが、他の曲よりも低めのキーで歌われることがまるで時間の経過を示唆しているようで、子供時代の終焉を表明しているようで、本当に悲しくなってしまう。ロックバンドというのはいつかはかならず終わるもので、遅いか早いかの違いでしかないのに、ここまで俺を悲しくさせてしまうのはこのアルバムにすべての時間が内包されているからだと思った。

 

② Do Wah dadadady/ the  dadadadys

躁のアルバム。バンドは流動体のようなものだから、終わりがあればかならず始まりもある。teto時代のアルバムは躁鬱の高低差でアルバムとしての幅を持たせようとしていた気がするけれど、dadadadysのアルバムはダウナーな躁かアッパーな躁かの違いだけでアルバムを作っている。そう考えればdadadadysのスタンスはtetoとはあらゆる面で対照的で、tetoは銀杏BOYZ以降の邦楽ロックを明確に意識したオルタナティブサウンドを作ろうとしていたけれど、dadadadysでは既成の邦楽ロックはもはや参照されておらず、テクニックよりセンスが先行してとにかく好きな音楽を無節操にカットアップし続けている印象が強い。そういう意味だと態度としては邦楽ロックというよりポストパンクという形容が最も適するアルバムです。

 

③ 10MICROPHONES AND DISTORTED WAVEFORMS!!/ hirihiri, libesh ramko

躁つながりで。純粋に聴いた回数だとこのEPが今年で一番多いはず。そう考えると今年はとにかくhyperでpopな1年だった、ユリイカのhyperpop特集が今年の春に出てから俺はずっとhyperpopという魅力的で仕方ない音楽のことを考えていた。だがしかし、その一方で夏の終わりあたりから急速にhyperpopという用語自体が陳腐化しているような気もしてならない。資本がhyperpopに入り込んできている。個人的にはlazydallとokudakunがニートtokyoで明言して以降。もちろんlazydallもokudakunも、hirihiriもramkoも、hyperpopという音楽に安住するようなミュージシャンだとは思わないので、今後のシーンを牽引する存在に成長していくことを本当に期待している。hyperpopという一瞬の盛夏に放たれたスリリングなアルバム。

 

④ assimilation/ asstoro

hyperpopより2枚目。hyperpopというラフで決してメインストリームではないムーブメントでここまでしっかりしたフルアルバムをリリースしたasstoroに最大限の敬意を示します。単純に考えて#3actのフロウが最高すぎる。単純に考えて。言い忘れてたけどhyperpopに関しては過去記事で好き勝手に語っているのでそちらを参照のこと。hyperpop関連のイベントってほとんど都内でしかやってないから大阪にいる俺は困ってます。関西に来てください。

 

⑤ NLO/ vq

hyperpopより3枚目。vq(ex:vo僕)の感性と音楽的なスタイルってかなり「邦楽ロック」と連続性のあるものだも思ってるから、邦ロックが好きなひとはvq絶対にいいと思うと思いますよ、俺は。ノイジーで叙情的という意味ではシューゲイズとも連続している。#2abcと#4noise  ageは大名曲です。それにしても特に改名後(でも改名前のvo僕って名前はまさに言い得て妙だったから好きだったな。内省的な歌詞を自分の声で歌うという決意+それでも「ぼ、ぼく」とどもってしまうやるせなさ+hyperpop特有のチョップをかけられたボーカルによって子音が連続する名詞って感じで、様々な意味が付加されていて。)その名前を捨てて、匿名性に覆われたジャケットと曲名のアルバムを出すというバランス感覚は、きわめて現代的かつ刹那的なさみしさを体現していると思う。

 

⑥ ほぼゆめ/ Kabanagu

Kabanaguがhyperpopかどうかは議論の余地がかなりあるためこのアルバムがhyperpopかどうかは保留で。少なくとも、このアルバムはhyperpopの括りに入れるにはあまりに躍動している、そしてひずんでいない、しかしゆがんではいる。2022年のインターネットのゆがんだ感性をまっすぐにアウトプットしている。popに勝負をかけつつもpopに徹することへの気恥ずかしさという、インターネット特有の感覚を鋭すぎる感性を持って鋭敏に捉え続けている…、#5騒ぐ日のあまりに繊細な詞を乗せるあまりに緻密なmixの構成や#9熱気の鮮やかな色彩と相反するハチャメチャな編集などはその象徴でしょう。上質なjpopに破壊と再構築のプロセスを加えることで、明確に次のステージへと昇華させることに成功している。

 

⑦Escapism/ TEMPLIME+星宮とと

futurebassからポストパンクまであらゆるサブカルチャーを軽々と走り抜ける星宮ととの快進撃が止まらない。ジャンル的な共通項が拡散しているはずの4曲(+1曲)なのに、試行錯誤とミクスチャーを重ねた末のアウトプットによって彼女にしかない音楽を完璧に鳴らしている。KBSNKの優しいハモリが印象的な#1Escapismから#3Candy Heartまで以前の作品と比べると明らかに少ない音数で的確な表現を行っている。ともすればガチャガチャ感が先行しがちなキラキラ系のPOPSでここまでの完成度なのは...。個人的にスマッシュヒットだったのが#4Lonely Girl,#5Super Lonely Girlのラインで、こちらもまた少ない音数でhyperpopにも通じるナードっぽい編集感覚、お見事です。個人的には、星宮ととはhyperpopだとかインターネットの片隅でブツブツ言っていたところ数日前に配信されたEscapismのリミックス集の一曲をhirihiriが担当していて、やっぱり俺は間違ってなかったんだ!とひとりでニヤニヤしています。

 

⑧Walk Through the Stars/ ピーナッツくん

個人的にぽこピーって活動初期からのファンだから感慨深い。ぽこピーのコンビってピーナッツくんのオタクっぽさとぽんぽこのオタクっぽくなさのバランスの妙だと思っていて、ピーナッツくん単体のプロジェクトだとオタクっぽさばかりが先行してポップさが失われるのではないかと勝手に心配していたのだが、すみません、めちゃめちゃポップでめちゃめちゃhyperでめちゃめちゃdope(死語)でした。#1Roomrunnerから#12Walk Through the Starsまで一貫するいなたいギターサウンドとピーナッツくんのボイスってまさしくhyperpopなんですよね、hyperpopという言葉をあえて使わないならば激しく現代的、最先端。もちろんプロデュースをつとめるnerdwitchkomugichanの感覚も十分に反映された結果ではあると思うのだが。ここまでのアルバムを出しBIGCATを一瞬で埋めてしまうのだから本当にすごい。すごすぎる。

 

⑨'77LIVE/ 裸のラリーズ

思えばhyperpopもノイジーな要素を多分に含んだ音楽だが、たぶん日本ではじめにノイズが主体の音楽を鳴らすことができた最初のバンドの一つが裸のラリーズだろう。その主宰たる水谷氏の訃報が飛び込んできたのは確か去年末のことで、卒論で書くくらい裸のラリーズが大好きだった俺は色々と考えることが多かったのだけど、こうやって公式盤なんてものがストリーミングで配信されてみて、今までにないくらいいい音質で#2夜、暗殺者の夜を聴くことができて、本当に涙がこぼれそうになる一方で、ここまで裸のラリーズを伝説的な存在へと昇格させたのは徹底的な情報の隠蔽によるブランディングの側面が間違いなくあったのだなと強く思う。作られた伝説に踊らされた、とまでは言わないが例えば頭脳警察のように継続的に音源をリリースしながら精力的に活動を続けているバンドも伝説と読んで然るべきものではないのだろうか。話が逸れましたが、このアルバムは間違いのない伝説的な名盤ですよ。

 

⑩ 物語のように/坂本慎太郎

今年観た沢山のライブの中でもっとも印象的だったライブがこのアルバムのリリースツアーの沖縄公演だった。ソロ以降の坂本慎太郎は常に現代のテクノロジーに反抗する姿勢を持ちつづけ、高度に機械化された社会に対する危惧を表明しつつそれに寄り添う"ナマ"の音を追求し続けて来たと思うのだが、それが沖縄という生命が躍動する土地で、いや沖縄という土地だからこそ花開いたというか、バチバチになったというか、そんな感じです。

アルバムの内容を振り返れば、全編を通して興奮でもシラケでもない、完全に無機質でニュートラルな演奏(そしてそれはもしかしたら原初の音楽に寄り添った感覚に近いのかもしれない)から、ともすれば「チルい」なんて言葉で回収されかねないゆったりとした構成の一方で、チルるには音がタイトすぎる、ナマすぎるキワッキワの肉弾戦というか、そんな感じです。