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北陸旅行記 カルデラ博物館編

立山黒部アルペンルートからの帰路、立山駅にて次の電車までに少しだけ時間があり暇だったので、立山駅近くのカルデラ博物館へ。学割がきいて、全展示無料で観覧できた。

この博物館、寂れた田舎によくあるしょうもないやつかと思ったら、めちゃくちゃ面白い。一本乗る電車を遅らせて見いってしまった。

入ってすぐ立山周辺の巨大なジオラマがあって、普段はこういうジオラマ素通りしがちだが、ここ二日かけてやってきたルートがこうも立体的と表現されていると、素直に感動する。黒部ダムから立山連峰をへて立山駅まで至る過程は、思ったよりもずっと過酷だった。

カルデラ博物館、常願寺川を眼下に控え、すぐとなりに国交省立山砂防事務所があり、背後には18段スイッチバックで有名な立山砂防トロッコの専用軌道が続いているだけあって、この博物館の展示は立山カルデラより流れる常願寺川の治水事業に関連するものが多い。

3000メートルの標高差をわずか60km弱で流れる常願寺川は日本屈指の急流として知られており、中世以来治水事業が営まれてきた。支流である称名川を流れる称名滝は落差日本一の瀑布で、その上流に位置する称名廊下と呼ばれる峡谷はそのあまりの険しさによって人の足を寄せ付けず、近年まで日本最後の地理的空白地帯とまで称されていた。

特に、安政の大地震によってカルデラ内に莫大な量の土砂が堆積して以降は、大雨の度に下流に甚大な土砂被害を与え続ける暴れ川に変貌した。

その対策として昭和初期に施工されたのが立山カルデラの狭窄部に設けられた白岩堰堤砂防施設で、全長60メートルを超える堰堤施設として日本最大、また防砂施設として日本で初めて重要文化財の指定を受けている。

日本砂防事業の父と呼ばれた赤木正雄博士による設計のもと8年の歳月をかけて竣工された白岩堰堤の効果はすばらしく、度重なる富山県の土砂災害の中でも常願寺川流域の被害は比較的軽微である。

一方で、立山カルデラ周囲の山々は今なお崩落を続けており、砂防工事も未だ年間40億円以上の予算が計上され取り組まれており、「永遠に終わらない工事」とさえ言われている。一説によれば立山カルデラに堆積した土砂の量は二億平方メートルともいわれており、そのすべてが流出したとすれば富山市街は数メートルの土砂で埋没する。

そんな脅威から富山を日夜守っているのが白岩堰堤をはじめとした常願寺川砂防堰堤施設、なのだ………………………………

二時間近く展示みてたせいで詳しくなってしまいました。

カルデラ博物館、まったく土木に興味がない俺でもかなり楽しめたのでおすすめです。アルペンルート帰路に必ず立ち寄りましょう。

 

思えば、前日訪れた松尾峠が晴れていれば立山カルデラを控えた白岩堰堤の堂々たる勇姿を一望することができたのだと考えると、ますます悔やまれる。熊(?)がいたせいで早々と山頂を後にしてしまったのも……

 

↓帰路の電車、富山地方鉄道立山線の車窓より見える本宮砂防堰堤。日本最大級の貯砂量を誇る砂防堰堤として重要文化財に指定されている。


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黒部ダムはやってたし、これもブラタモリでやってたら面白そうだなー、と思って調べたら普通に黒部ダムとは別の回でガッツリやってた。タモリなんでもやってんだよな。