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Kroiの音楽の何がすごいのか、完全にわかったので教えてあげます

こんにちは、みなさん音楽聴いてますか?俺はそこそこです。

ところで、みなさんKroiというバンドをご存知ですか?最近すごく注目されているバンドなので、もしかしたらすでに多くの人が彼らの音楽をご存知かもしれませんが、恥ずかしながら、俺は最近になって知りました。
それから俺も時たま聴いては普通にいいなーっと思っていたんですが、先日訪れた野外フェスでのパフォーマンスが本当に良くて、MVのそれと全く同じ出で立ちのメンバー各氏がステージに立つやいなや「やっべえライブしま〜す」との一言、その5秒後、本当にやっべえライブが始まって、本当に度肝を抜かれてしまったので、これを書いています。
ひとまず、Kroiの音楽をまだ聴いていない方はこの機会にどうぞ。


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言ってしまえば「現代の売れ線の邦ロック」なんですが、これがメジャーのシーンにいる日本のロック、結構おもしろくないですか?俺はおもしろいと思ってます。おもしろいと思うし、まだまだ発展の余地があると思う。
ストリーミング配信サービスの普及と音楽の聴取様式の多様化は、例えば10年前の4つ打ちロックのような「コレ!」といえる売れ線のスタイルを提示することが難しくした気がします。それは、邦楽ロックのような閉鎖的なシーンですら共通のことのようで、近年の邦楽ロック系の野外フェスのラインナップを見るとその音楽性の意外なまでの幅広さには驚かされます。
Kroiはそんな拡散した売れ線が交錯するシーンの中でも最も先鋭的かつビビッドな音楽性をメジャーデビュー後もなお維持しています。
もはやミクスチャー的な方法論は邦ロックのみならず日本のポピュラー音楽シーンの中でも当たり前に用いられるものになっていますが(米津玄師とか、星野源とか…より若者向けの音楽に目を向けるなら、Official髭男dismだって、Vaundyだってそうです)、Kroiのミクスチャー先は一貫して黒人音楽のそれです。R&B、ファンク、そしてhiphop────ほかのミクスチャー・ロックを標榜するロックバンドのそれよりずっと高い精度で彼らは黒人音楽のミクスチャーを実行しています。
そもそもロックという音楽が、いかに黒人音楽を内面化するかという課題と取り組んできた音楽といえ、ここまでルーツミュージックへの憧憬を露わにしながら邦楽ロックとして出力する技量はさすがと言えます。Kroiの商業的成功は、その音楽を続ける冒険心と、リスナーの感受性が化学反応を奇跡的に起こした結果です。

そして、彼らの成功には何の因果かコロナ禍が影響したといってもいいかもしれません。このバンドは2020年以降に大きく勢いを伸ばしたバンド、つまりコロナ以後が主な活躍の舞台です。彼らの楽曲はカラオケで歌われることのないままヒットを続けているわけです。日本のポップソングってカラオケで歌われることが前提で作られてきたから(Creepy Nutsのようなラップでさえ、ですよ)、これはちょっと異常なことです。Kroiの曲、あなたはカラオケで歌ったことがありますか?俺は難しくて歌えないと思う。カラオケで歌われることを前提としていない。──というよりむしろ、コロナ以後、カラオケで歌われることがヒット曲の必要条件ではなくなったと言っていいでしょう(たびたび引き合いに出して申し訳ないですが、髭男のコロナ以後の楽曲も非常に複雑な進行をしていて素人は歌いづらいです)。


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たとえばこの曲とか、ループ感の強い構成と24小節のソロ回しパートでかなり変則的なことをしているのですが、そこをいかにもJ-POP的な2段構成のサビでギリギリ曲全体の構造をリスナー把握させることに成功しています。好きなだけ好き勝手やっておきながらギリギリのところで「邦ロック」として成立させている。このバランス感覚はさすが、Kroiの得意技といえるでしょう。

比較的簡素なリフ中心で、8小節のビートが基本的な単位となる音楽の気持ちよさを、あくまで日本のポップスのルールを遵守したかたちで限界まで突き詰めていっている、彼らがそんなことをできるのは、(実はこれが重要な点ですが)シティポップの逆輸入的なリバイバル日本語ラップの流行を経て、日本のリスナーの音楽的素養が彼らの音楽性を受け入れることのできるまでに成長しているからといっていいかもしれません。

更に付け加えるならば、彼らの成功には彼らのスタンスが醸し出す独特のモード感も作用している気もしています。のらりくらりとしていてどことなく真剣でないようなステージングや、「Balmy Life」の「身を粉にしちゃいない」「気負いも感じない」のような歌詞からそのスタンスはよく感じられると思っていて、Kroiはシリアスな現実の課題や、暗い心象を歌にはしません。ただ享楽的に明るい世界があるだけです。
そこには、シティポップのリバイバル現象やVaporwaveの流行との連続性が指摘できます。それらの音楽で歌われるのは現実とは断絶した、うすぼんやりとしていて恍惚な空想の世界です。Kroiの態度はその空気を共有しているように思えます。

本来R&B、ファンクが持っていた黒人音楽特有のマッチョさや、hiphopの持つ現実との連続性をきれいに切り捨てて(もちろん音の面ではめちゃめちゃソリッドですが)、一瞬の享楽だけを音楽に落とし込み、それを全身をもって表現する。この見せ方は明らかに先進的かつ彼らにしかできない所業でしょう。

だってほら、めっちゃオシャレ。オシャレでありつつ、既存の邦ロックや日本のHIPHOPが描いてきたトレンド感とは微妙に隔絶していて、彼らにしかない色彩を放っている。いくらスターダムをのし上がって行ったその先でも彼らの空気感だけは崩してほしくない。
いまの邦ロックの一番面白い部分を担っている彼らに今後も目が離せないような、そんな気がしています。

【大長編】男二人がうまい飯を食い、サウナの聖地に行くだけ③

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↑翌朝!!近くの海岸まで散歩した後、ついに旅行のメインイベント、サウナの聖地しきじへ。今回泊まった旅館登呂という旅館はサウナしきじへ徒歩で行けるほぼ唯一の宿泊施設のはず。一応しきじ内で宿泊することもできるが、その場合休憩室の雑魚寝か、健康ランドなどにありがちなリクライニングチェアで夜を明かす必要があるので注意。旅館登呂は値段もお手頃で海も近く最高のロケーションといえる。

ちなみに、タトゥーは一切禁止、サウナハットも禁止らしい。今どき珍しいが、郷に入っては郷に従うのみ。

平日の早朝7時頃にも関わらず、駐車場には大量の車が。さすがサウナの聖地とでも言うべきか......。俺がサウナに目覚めて早数年、気づけば世間はサウナブームもブーム、それが高じて静岡にまでくるのだから、俺たちのミーハーさといったらない。元来の逆張りインターネットボーイである俺からすれば屈辱的とも言える行為だが、興味が勝ったのだからしょうがない。と言っても「しきじは水風呂が違う」とかみんな言ってるけど、水風呂なんてどこも一緒でしょ?なんて自分の中の斜めに構える精神を捨てきれないまま大浴場へ。

......

 

すみません、水風呂、全然違いました。なんだろ、ドバドバ循環しまくってる水風呂で水温も低いはずなのに全然刺すような冷たさがない。まさに包まれるような感じ。しかも完全なる湧き水だから飲んでいい。体内からも火照りをさます感じ、新しい。

ついでに言うとミストサウナも全然違った。ミストサウナって普通はドライサウナのおまけって感じだと思うけど、むしろしきじではミストサウナ(薬草サウナ)が本番。蒸気がやばい勢いで床下から噴出してるせいで身動きがとれなくなる。下手するとやけどする。でもやけどしそうなくらいの蒸気に包まれたあとの違いすぎる水風呂が..........あーーーーーーーーーー

きもち〜〜〜

やはり流行ってるものには流行っているだけの良さがある。それがたとえベタな選択だったとしても、ベタになるだけの理由がある……。

 

全然関係ないが、最近Vaundyのライブを初めて生でみたんだが、そのアイドルみたいなステージングのこなしをみて完全に俺は感心してしまって、サウナしきじに行った時と同じ感想を抱いた。Vaundyは元々インターネットの人だったし、サウナだってサブカル的な文脈で流行して、それがメインストリームなものへとなっていったわけだから、やはり優れたもの、「ベタ」になり得るものには万人を引き付ける何かがある。俺のような逆張り野郎でさえも引き付ける何かが…。だから、俺たちは流行りものを決して馬鹿にするべきでないし、むしろリスペクトを込めて受容していくべきなのだ。すみません、何の話ですか?

 

 

↑妄言はさておき、サウナできもちくなってたら普通にチェックアウトの時間を過ぎていたので大急ぎで支度をしチェックアウト。ちなみに、俺とヨシカワの旅行ではあらゆる予定の予約や時間の管理は俺が担当しているが、別に俺は時間にめちゃめちゃルーズなため、普通に遅刻するし営業時間も間違えてたりする。でもヨシカワは怒らない。この絶妙なバランスで俺たちの関係は成り立っている。旅館を30分遅れでチェックアウトした俺達はせっかくだからすぐ横にある登呂遺跡へ。全く知らなかったのだが、俺は幼少期によく登呂遺跡に訪れていたことを後に母親から教えてもらった。3歳くらいまで静岡に住んでいたのは知っていたが、この近くだったとは。ちなみに俺が初めて歩いたのは駿府城公園らしい。後の天下人の居城で初めて歩いたって、大物っぽいエピソードでいいな。

登呂遺跡を散歩していたら旅館から電話が、ヨシカワが充電ケーブルを忘れていたらしい。以前高知の旅館でもヨシカワは充電ケーブルを忘れていった(その時は諦めて捨ててもらった)。カス.....。余談だが俺もその2日後、新橋のカプセルホテルにモバイルバッテリーを忘れました。両者相打ちといったところか。カス。

 

↑登呂遺跡で竪穴住居に入ったりしてモタモタ観光していたらレンタカーの返却時間がマジでヤバくなったので帰路は高速道路を使用(どうでもいいけど俺たちの旅行ってなぜか遺跡に行き過ぎている気がする。三内丸山遺跡岩宿遺跡、吉野ケ里遺跡……有名な遺跡はもはやあらかた巡ったんじゃないか)。車はこのまま熱海で乗り捨てる予定。

道中高速道路の分岐を「ガチ」で間違え、辿り着くはずのない御殿場インターになぜか到達してしまい「マアアアアアアアアアア!間違えちゃった!」「どうか、しましたか」「すみません...降りるインターのチェンジを間違えてしまったのですが」「ちょっと、おとなしくしててくれる」などのやり取りを経て熱海へ。上の写真もそうですが、ここから一切の写真を撮っていないためすべてフリー素材で代用してます。ブログ書くんだから写真くらい撮ればよかった。。。。。。

↑いよいよ旅もクライマックス、熱海で無事車を返却し、そのまま湯河原でラーメンを食い、この食い倒れの旅は終わりとなる。例によって一切の写真を撮り忘れていたのでフリー素材です。熱海、ものすごい久しぶりに来た気がするけどいい町ですね~~。まだ5月なのに夏のような日差しと熱気があって、南国のような雰囲気を味わえた。

この後ドカ盛りで有名な湯河原のラーメンを食う予定だったのにヨシカワは商店街で金目鯛のハンバーガーを食べていた。すごい食欲。ちなみに、これから食う湯河原のラーメンは、かの有名な飯田商店ではなく、「味の大西」という店です。(いい意味でも悪い意味でも)知る人ぞ知る…………。どういうことかはこの店のGoogleレビューをみればすべてわかります。やはりGoogleレビュー、有能。

goo.gl

note.com

↑あとはこのめちゃくちゃバズったマキヤ氏の記事を読めばわかります。ヨシカワは以前に一回この店を訪れたことがあり、その際は弟・ダイ陣営の麺を食べたとのことで、今回はなんとかして兄が店頭で客引きを行うタイミングを窺い入店し、兄・母陣営の麺を食べようという作戦会議をしながら湯河原の駅前の通りを歩くと、交差点の一角に明らかに異様な雰囲気を放っている店が出現。ボロボロのビルの一階、看板も何もなく代わりにガラス張りの扉に大きく「携帯電話使用禁止」と書かれた手書きの張り紙がしており、店前にはいかつい髪形で煙草を吸うおじさんが......

弟だ!!

客だと悟られる前に店を素通り、横の路地に逃げ込む(なんでラーメン食うだけでこんなことしないといけないの?)。「いまの絶対客だって思われたよね?!」「怖すぎるからこのまま諦めて横浜で浜虎食って解散にしない?」弟のあまりのいかつさに怖気づく俺たちだったが、意を決して再び店の前へ。すると店頭で客引きしていたのは眼鏡をかけたいかつい髪形のおじさん......

ダイだ!!

すみません、怖すぎるので諦めました。ダイに導かれるまま入店、指定されたテーブル席に着席。導かれるままにおすすめのワンタンメンを二つ注文、サービスで出されたやたらとおいしいお茶を飲みながら店内を見回す。

数々のレビューでいわれていたほど店内は汚くないが、昼時にもかかわらずやたらと広い店内に客は俺たちを含め2組しかいない。レビューや上の記事に書いてあったような両陣営の罵りあいはなかったものの、先に入店していた作業服姿のおじさんがスマホを見ていたら母が近づいてきて「携帯電話はダメってことになってるから」とすごいねっとりした調子で注意してた。最悪かい。10分ほど待っていると、大量のチャーシューで覆われた巨大などんぶりが到着(ここで着丼。とか書く気概は俺にはない)。

最後の飯なのに写真を取れないのが非常に歯がゆいが、撮影禁止のため仕方がない。とにかく量が多い。チャーシューの分厚さに面食らいながら麺を食らっていると(激うまギャグ)、厨房から弟が小皿に盛られた大量のチャーシューを運んできた。「これ、サービスだから!」これマジ?その後も弟は「足りなかったら言ってね!」「お兄さんたち、”当たり”のほうのラーメン食べれてよかったね!」などと超大声で調子のいいことをずっと喋りかけていたが、そこにはサービス精神というよりも兄たちへのアピールをするという意図しか感じられず、ただただ怖かった。時々ホールにいるダイに「考えて動けよ!」などと運動部張りの大声のヤジ?激励?を飛ばしており、とにかく異様な雰囲気としかいいようがない(本当に大声なんです。空いていてで静かな店内なのに)。知らずに来店したらめちゃめちゃ怖いだろうな。

ちなみに先に来店してたおじさんも弟陣営のワンタンメンを食べていたが、弟ルールを違反して「大盛」を頼んでしまったがために当てつけのように爆盛りの麺を食べる羽目になっていたし、「だから大盛じゃなくていいって言ったのに」とか言われていた。かわいそうに。爆盛りのチャーシューの下にも大量の爆弾みてーな大きさのワンタンが隠れており、変な汗をかきながらもなんとか完食。ヨシカワは顔色が若干青白くなっていた。「足りた?」じゃないよ。

そそくさと退店し、駅前の通りを歩きながら反省会をする。どうしても兄陣営のラーメンを食べたいなら、先客がダイに捕まった直後に来店すれば確実だと思われる。次こそは必ず......!再訪を誓いつつ東海道線に乗り込み、一路川崎へ…、川崎にて高校時代の友人と会合を果たす予定だがそれはまた別の話......。

ここまで書いてちょうど1万文字です。論文かな?

長過ぎるので、ここらへんにしときます。ここまで読んだ人は世界一暇です。

 

【大長編】男二人がうまい飯を食い、サウナの聖地に行くだけ②


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↑翌朝。チェックアウトを済ませ早々に市内の肉うどんが有名な店へ。ろくに調べもしないのに今のところすべての店が営業しているという奇跡が起きている。今回の旅行、"当たり"の回かもしれない...などと思いながら肉うどんの食券をカウンターに置く。この店は世にも珍しい「二郎系うどん」が食えるらしい、と期待して待っていて出てきたうどんが2枚目の写真。二郎系とは........?

おい!!!!!二郎系のうどん食えんの夜だけかい!!!!!!!!(味は、普通にうまかったです。あっさりした魚介のスープとこってりしたチャーシューが互いを補完しあっていて、無料トッピングのゆず胡椒もよかった)

しかし完全に二郎系の口になっていた俺たちは、地獄のエキストラ・ラウンドへ......

 


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↑地下鉄で数駅移動し、名古屋で最も凶暴な二郎系を提供する店、らけいこ へ。昼時だったがほとんど並ばず入れたのは幸運としかいいようがない。らけいこの名物はなんといっても油で揚げられたチャーシューが乗った汁なし二郎系──またの名をデブセブ(なぜデブセブと言うのかは、調べてもよくわからなかった)。揚げチャーシュー(通称セブ肉)のインパクトに目を引かれがちだが、キャベツ多めの野菜と自家製麺の超極太麺のクオリティは相当高い。ただデフォの麺量が450gあるので下手な覚悟で行くと終わります。ヨシカワはセブ肉を口に詰め込んだ状態で店を出てきた。というか、書いてて思ったが食いすぎだろ。昨日の夜から12時間以内に麺を4杯食っている。腹パンパンになった俺たちは名鉄に乗り一路東を目指す。途中、金山駅でドゥワァ! センナナヒャク!!の聖地巡礼をしつつ浜松へ。ここでレンタカーを借りてやたらと横に長い静岡県を走破する算段だ。

 

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金山駅らしい。この後レンタカーを借りようと浜松駅に降り立ったはいいが俺の方向音痴が本当にヤバすぎて駅徒歩5分のレンタカー屋に20分かけて到着。駅についた時点で予約の時間からすでに1時間遅れていたため合計1時間20分の遅刻。カスとしか言いようがないが、こればっかりは仕方がない…。トヨタレンタカーのそこそこいい車に乗り込み、静岡市方面へ……。静岡方面は右方向だから……こっちか

うわっ!前から車が!!


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↑俺たちが車に乗ったらすることなんてミームをカーステレオで流しながら永久に狂い続けることくらいしかない。上の動画のようにミームとして普及しているものならまだしも、「Wiiドラえもんひみつ道具王決定戦」(小学生のヨシカワが好きだったゲーム。おれはやったことすらない)のジャイアンが自分のターンを終えた時のセリフ「ざっとこんなもんよ!ほほーい!」をひたすら擦り続けた挙句、その次ののび太のターンが始まったときのセリフ「ぼくの番だよ!」まで擦り続けている始末。何のこと言っているか全くわからないと思うが、この動画をみればわかります。動画を直接貼ることはアップロード者の設定で封じられていた。

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↑この手の、「俺たち二人にしかわからない内輪ノリ」が何十種類もあり、それらのミームを複雑に組み合わせることで俺たちの会話は成立している。まるで暗号のように。多分だが第三者が俺たちの会話を聞いても半分も理解できない気がする。問題は俺とヨシカワと更にだれかがいる3人以上の状態での会話であり、俺とヨシカワはミームが出ないよう細心の注意を払いながら会話している。うっかり「ざっとこんなもんよう」を木村昴ボイスで言おうものなら普通に意味が分からないから。


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↑ひどいな。ちなみに、ヨシカワは「あっ、やばい」と言ってから屁をこく習性があり、それに被せて俺が「いまの俺です!」と言うというノリがこの車内で誕生した記念すべき瞬間。それにより俺はこの旅行中、屁負比丘尼(へおいびくに)の役職を負うこととなった。

〘名〙 良家の妻女や娘などにつき添って、放屁などの過失の責めを代わりに負った比丘尼。屁負比丘。科負(とがおい)比丘尼

屁負比丘尼とは - コトバンク


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ミームを垂れ流しつつ浜松から海岸線に沿って東へ。ここは静岡の先端部分こと御前崎。俺は滑りそうで怖いから後ろから見ていたがヨシカワは岩場をずんずん進んでいっていた。俺は海が好きなのでよくヨシカワと車に乗っていると遠回りをして岬とかまで行くことがよくある。途中、明らかに私道としか思えない細すぎる道(千と千尋の序盤でお父さんが爆走していた道に似ていた)に突入し、地元のおばさんにめちゃめちゃ不審がられてた。

さすが、先端部分ということもあり一切の対岸が見えない景色。丘を登った先にある展望台では地球の丸さを体感できるほど開けているらしいということで......

 



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↑画像左端の岩場がさっきヨシカワが立っていたところなので、結構高いところまで登ったのがわかると思う。丸い……か?肉眼で見るとぎり丸く見える。ちなみにここにいた大学生みたいなグループの男のイキリ方が最悪すぎて(展望台の屋根の上に昇ったりしていた)ヨシカワはマジで切れていた。ヨシカワはああいうイキリかたをマジで嫌っている。道玄坂の緑の会社のことも...。

この動画おもしれ〜。単純にヨッピーの話が面白い。その後ずっとブチギレ続けていたヨシカワはひたすら大学であったムカつくエピソードを話していた(授業中、前の席の人がペンを忘れたから貸してくれと頼まれたから投げて渡したらすごいにらまれた、という話など。←これどう考えてもヨシカワが悪いだろ)。俺たちの旅行は必ず渋くなる時間があるので、こんなもんへっちゃらです。その後にさいてょのカイエン青山の動画を大音量で流したところすぐにヨシカワは元気を取り戻した(俺たちはこの動画を流しすぎていて、「うわぁ、頑張ろう」の後の「俺も」という呟きが見過ごされていることを発見している)。あと斎藤佑樹のストラックアウトの動画も最悪すぎて最高なので大好き。みんなもみて。


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その後ヨシカワの大学院の講義をzoomで垂れ流しつつ車は静岡市内、登呂遺跡にほど近い旅館へ。こじんまりとしていてめちゃめちゃ高齢のおばあさんがフロントにいたのに、横のショーケースにめちゃめちゃごっつい戦車のプラモが飾ってあったのが面白かった。

なんの変哲もない和室、旅の疲れからかウトウトしていたら、ヨシカワが全裸でアナルを俺の顔面に乗せようとしていて最悪だった。でもこの、旅館にチェックインしたあとのダラダラが旅行で一番楽しいんだよな?楽しい、楽しくない?旅行、いいよね、旅行。思えば大学時代、本当にいろいろな場所をヨシカワと巡った。青森、四国(2回)、福岡、沖縄.........。大学生は人生の夏休みというが、それを本当に謳歌してしまった。

 

その後平気で爆睡し、午後九時過ぎ、静岡市内の駅前の評価が高いらしい中華屋へ(余談だが、最近俺はGoogleレビューの評価が爆裂に低い店をひたすら探し続けるという暇つぶしを行っている。それを経て実感したことは、Googleレビューの信憑性の高さと、食べログの信憑性の低さである。食べログが拝金主義で陳腐化したというニュースを聞いて久しいが、本当の本当に食べログはなんの信用もならない。あとりょうくんグルメも。Googleレビューの星が1.5とかのスーパーヤバレストランの食べログ評価が平気で3.5だったりするし、りょうくんグルメがツイートしてたりもする)。


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↑新新京というお店。静岡駅前の歓楽街の一角にあった。ウメ〜〜〜〜!この店はニンニクがゴロゴロはいったチャーハンとラーメンが名物らしく、正直言って今回一番アタリの飯だったかもしれない......。ニンニクはしっかり熱が入っておりホクホク、辛味や臭みはほとんどない。大阪じゃあんまり飲めないホッピーの黒を置いてるのもよかった。ホッピーの黒、ウメ〜〜!ホッピー一瓶で3杯はおかわりしちゃうもんね。

ちなみにヨシカワは運転手のうえそもそも酒を飲めないためノンアルです。申し訳ない。

結構人気の店らしく、こぢんまりとした店をひっきりなしに酔客が出入りしていた。中国人の夫妻が経営しており、愛想のいい奥さんとぶっきらぼうな夫のコントラストもいい。静岡駅に行く機会があったら普通に再訪したいと思っている。

ちなみにヨシカワはシラフのままALSに対する恐怖をひたすら語り続けていた。

なに??

二日目終わりです。翌朝はいよいよサウナの聖地へ......。

【大長編】男二人がうまい飯を食い、サウナの聖地に行くだけ①

気づいたら半年ブログを書いていなかったが、理由としては、ブログに書くようなイベントが何一つ起きなかったから。常々なんか書かなきゃとは思っていた。これマジ。

というわけで、久しぶりに友人ヨシカワと名古屋〜静岡を横断する旅行に行ったから、久しぶりに日記でも書こうと思う。例によって写真の殆どはヨシカワ撮影です。俺はめんどくさすぎてカメラ起動しなかった。

長すぎるので3つに記事分けてます(全部でちょうど1万文字あります)!世界一暇な人だけが読んでください。

以下本編。

 

5月某日夜。北大阪に住む俺と東京都北区に住むヨシカワは、さながら挟み撃ちのごとく名古屋に向かっていた。

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↑顔が怖すぎるヨシカワの近影(掲載許可アリ)。最近は毎日のようにzoomで作業通話をしていたため、久しぶりに会うというのに全く感慨というものがない。

↑これは「もちろん俺らは抵抗するで?……拳で」のモノマネを全力でやっているシーン。背後に日本地図がある理由は不明。思えば俺とヨシカワはしきりに名古屋に訪れていて(東京と大阪の中間地点で何かと便がいいため)名古屋に観光地はないとよく言ったものだが、うまい飯だけはあると、幾度となく名古屋を訪れている俺とヨシカワはそう確信している。そう、うまい飯だけは......。

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↑午後9時過ぎ、バイトを終えた俺は新大阪からこだまの自由席に乗り込む。こだまの自由席ってこんなに空いてんの?と思って缶ビール空けながら発車を待っていたら、大量の半グレみたいな風貌の男たちが乗り込んできて大騒ぎしながら俺の座っている席の直前(ちょくまえ)に座ってきた。座るなよ、直前(ちょくまえ)に。

「直前(ちょくまえ)に半グレ座ってきたんだけど?!」ヨシカワにLINE送ろうとスマホを開くと......。

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↑めちゃめちゃピンチに陥っていた。しかし俺たちは事前に特急券を取っておくことなど"絶対に"しないため、この情況も残念ながら当然といえる。残当。誰か助けてクレメンス。

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↑よかったね〜〜☺ちなみに以前も北海道行った帰りの新千歳空港で飛行機が飛び立とうとしていてガチダッシュする、無人島に行こうとしたらフェリーの整理券の配布が3時間前に終わっている、レンタカーの返却時間に間に合ったことが今まで一度もない、などありとあらゆるミスを犯し続けているため、内心何とかなるだろ.....としか思ってなかった。何とかならなかったらそれはそれで面白いし......。

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↑一足先に名古屋に着いた俺は駅前の広場でヨシカワを待つ。夜行バスの発着場が近くにあるらしくスーツケースを持った若者たちがたくさんいたが、突如としてノーマスクのジジイ3人組が煙草ふかしながら大声で登場して、空気がピリついていた。名古屋のこの混沌とした感じ、決して嫌いではない。


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↑やっとのことで合流したヨシカワと一路夜の街、錦へ。錦のギラギラした歓楽街の雰囲気は、大阪のそれとは少し違うもののような気がして、訪れるたびに少しおののく。いや単純に大阪の空気に俺が慣れきっているだけかもしれないが。十三、あるいは南方の空気に。と言ってもヨシカワは酒が飲めないためひたすら飯を食うのみ。ひとまずヨシカワおすすめの煮込みうどんが食える店「龍」へ。ここはガーシーチャンネルがおすすめしていた店らしい。ガーシーってグルメ情報も教えてくれるんだ。ちなみにここでヨシカワに誕生日プレゼントを渡しました。写真とかないけど、大長編ドラえもん「帰ってきたドラえもん」(旧作)のDVDと、その名シーンを再現したフィギュアなどを渡した。なぜ帰ってきたドラえもん推しなのかというと、この作品の節々の演出がおしゃれすぎる(例:ドラえもんがいなくなっても気丈に振る舞うのび太がふと見せる悲しそうな表情を「のび太の部屋の空っぽになった押し入れの視点から」映す、ウソ800を飲んだのび太が「桜ももう終わりだね......」と寂しそうにつぶやくと背後で桜が満開になる、などなど......)ということが俺たちの間で話題であり、この作品の素晴らしさを日々語り尽くしていたからだ(いまさら)。「うれしくない!」「うん、うん(のぶ代ボイス)」「これからまた、ずっとドラえもんといっしょにくらさない」「うん、うん(のぶ代ボイス)」のかけあいをzoom上で一生やり続けている。きしょ


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↑中でも俺たちが擦り続けているのは、のび太のママが帰ってきたドラえもんのび太のやり取りを聞きながら夕食のハンバーグを何も言わず一つ増やすシーンである。書きながら感動するくらいいいシーンだな。このシーンが好きすぎて「silently.adding.a.hamburg.steak@gmail.com」のアドレスを取得して運用しています。すみません、なんかひどめの内輪ノリの話をずっとしてしまって。こんな感じで続きます。それにしても、のびママがこのアドレス使ってたらめちゃめちゃ面白い。


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↑ヨシカワは無限の食欲を持っているため、煮込みうどんを食った直後に深夜営業の台湾まぜそばの店を探し徒歩20分かけて来訪。道中ずっとお互いのバイトの愚痴を言っていた気がする。詳しくは割愛するが、最近俺のバイトではとある大問題が発生していて、バイトリーダーたる俺はその解決を求められている......。そもそも俺なんて元来リーダーというものに向いていないのに...。

店の名前は忘れた。特に有名な店ではないらしいが、まぜそばはどこで食っても一定以上の美味さがあるという俺の持論通り、ここも普通にうまかった。特に揚げ玉がうまい。全国のまぜそば屋は揚げ玉を入れるべき。ちなみに、店員の目が完全にキマっていて、バキバキに睨みつけてきて、それが怖かったです。場所柄やっかいな酔っぱらいとかが多そうだし、それで狂ってしまったのだろうか...。麺を2杯食い流石に満腹になった俺たちは定宿としている栄のカプセルホテルにチェックインし、就寝。作業エリアで勉強をするといいつつ1秒もしなかったです。やったことといえばヨシカワが俺のマスクに生尻を乗せてきて、尻乗せマスクだということをすっかり忘れていた俺がそのマスクをつけたということくらい。

ちなみに、ここのカプセルホテルのサウナは前までタトゥーありだったため名古屋中のヤクザが集結していたのだが、2022年5月からはタトゥー禁止になったらしい。その代わりにはぐれメタルキングにそっくりのおじさんが、20分近くサウナに入り続けていた。さすがの守備力というべきか(はぐれメタルキングって何?)。

一日目終了。

PK shampoo 信徒からの手紙

PK shampooというバンドは、社会に適合し辛いことを自らのアイデンティティの担保にしてしまうような捻くれた若者──その多くが大学生だろう──にとって、間違いなく救済だったし、フロントマンであるヤマトパンクスは明らかに彼らの方を見て歌っていた。

しかし、今やもう彼はより高みを見つめて歌っている気がしたし、俺たちは彼にもう何か、俺たちのやるせなさや虚しさのようなものを代弁してくれることを期待するべきではないのかもしれない。

新木場STUDIO COAST、いつものライブハウスよりずっと高いステージ上でスポットライトに照らされるヤマトパンクスを見て、そう感じた。

そう感じたし、彼らはもっと高みを見据えるべきだと強く実感した。それだけ、俺は疎外されている気もしてしまうのだが……。前に出した記事で「彼らが触れる距離にいる内にライブに行くべきだ」などと書いたが、本当にあっという間に触れられる距離ではなくなってしまった。それほど、COASTのステージは高く感じた。そんなデカい箱をいっぱいに埋めて夜間通用口を歌いあげるなんて、やっぱりすごいバンドだ。はっきり言って、このバンドはもうめちゃめちゃ売れている。俺たちの嫌いなしょうもな大学生だって、春色のカーディガンを羽織ったマッシュヘアのいけ好かない軽音サークルの男だって、それと連れ立って歩いてるキーボード背負った女だって全員聴いてるぜ。

俺がこのバンドを好きになったのは、俺が大学に入って少しした頃で、確かKanzakigawa epが発売された直後とかそれくらいだった思う。ローファイなノイズと叙情的な主旋律、お得意の泣かせるコード進行によって規定されるPK shampooの音楽はまさしく発明、他のどんなシーンにもないロックだと思った。かくいう俺もその音楽に心酔し、ヤマトパンクスと同じような服を着て同じような髪型をしていた。もうやめたが。

しかし今になって思えば、このバンドが成功した原因は、その音楽が優れていたというのももちろんだが、それ以上に明らかにヤマトパンクスと彼を取り巻く人々が織りなす"シーン"の形成にあったと確信できる。究極、今後リリースが殆どなくてもヤマトパンクスを取り巻くシーンは大きすぎて、彼の影響力が衰えることはないとさえ思えてしまう。

このバンドの音楽は、ノイズまみれのサウンドと、メロディ及び詞の美しさのアンビバレントに魅力があるというような説明されている印象があるが、それだけの要素ではPK shampooの商業的成功を説明することはできないし、似たような音楽を別のバンドが制作したところで絶対に彼らを再現することはできない。思い出してほしい、彼らのレーベル名from WWWと1stフルアルバムのジャケットが描いたイメージを。それはとても精確にこのバンドの持つ最大の特徴を説明している。彼らは00年代以後のインターネットにおけるスラング的に消費されてきたアングラカルチャーとHIPHOPに特有だったストリートカルチャーをごちゃまぜにして"出力"し、他のどこにもないシーンを形成している

ここで重要なのは、繰り返し言うようだがその出力元/出力先は音楽のフォーマットだけでは必ずしもないということだ。ヤマトパンクスはありとあらゆるインターネット/ストリートカルチャーを取り入れてきているし、自身のファッションやSNS、ラジオ上におけるパフォーマンスを通じたブランディングが完璧に行われ、かつ彼の制作する音楽とそれが結びついてはじめて、PK shampooはPK shampooとしてのシーンを作りたりえる。そんなこと、大資本が注入された広告によってしかブランディングを行えないメジャーバンドには絶対にできない芸当だ。  

 もちろん、この類のブランディングを行い成功してきたアーティストはHIPHOP界隈を中心に数多くいることだろう。しかしPK shampooが特異的なのは、その手法を邦楽ロックというゴチゴチに固まった独特な音楽シーンに輸入してきたことにあると思う。だから、俺のようなインターネットボーイたちに振り向かれたし、今や多くの学生層に聴かれる音楽になり得たのだ。もちろんそれははじめは意図的なものではなかったのだろう。ヤマトパンクス個人の遍歴と彼を取り巻く音楽が結果的に組み合わさっただけに過ぎなかったのかもしれない。だがそれらはあまりに見事に融合し独特なシーンを邦楽ロック内に形成した。丁度、台風の目のように。

 ここまで散々音楽だけが重要な要素ではないと書いておいて恐縮だが、もちろん彼らの音楽も同じくらい重要だ。まず一聴させるきっかけをつくれなければ誰も振り向いてくれないから。そして、俺のような(自称)音楽好きのオタクに聴かせるのならともかく、大衆に聴かせるためには絶対にキャッチ―な主旋律が必要だ。ヤマトパンクスの歌はよく歌謡曲的だと言われるが、大衆に聴かせるためにはむしろ歌謡曲であった方がいい。聴かせる主旋律でなければ大衆は絶対に聴かない。しかしここが重要なのだが、現代の売れる音楽における重要なファクターとして俺のような(自称)音楽好きのオタクにも聴かれないといけないのだ、どういうわけか。キャッチ―かつ音楽好きをうならせる引き出しがあること(丁度、星野源とかそのいい例だと思うが……)、偶然か意図的なものかはわからないがヤマトパンクスの音楽はうまくそれを両立できている。泣かせて歌わせる主旋律と共感性の高い歌詞、かっこいいギターサウンドセカイ系の文脈すら感じさせる具体と抽象を行き来する深遠な歌詞世界、幾重にも幾重にも重ねられノイズじみたエレキギターの響き(とそれが意味すること)これをかんっぺきに一つの音楽に落とし込んでいるのがPK shampooの楽曲だろう。この曲があって初めて先述したシーンは動き出すし、大きくなり続ける。

 そういえば、楽曲の要素だけをとりだせばたびたび比較対象になる、ヤマトパンクスの尊敬する峯田和伸のそれと近しい部分は含まれる可能性があるが、そういう部分も含めてfrom WWWといって過言ではないだろう。それに個人の振る舞いレベルでは全く異なるスタンスをとっていると思うし、ここ数年でヤマトパンクスの立ち振る舞いはかなりアップデートされてハイファイなものになっていっている。

そう、ハイファイさ。彼らがここ数年で身につけた最大の強みはノイジーなのにハイファイであるということだろう。これは音楽的にも、ヤマトパンクス自身のブランディングにおいても重要なターニングポイントで、リリースで言うなら夜間通用口のMV公開とkanzakigawa epのサブスク解禁時(の新曲)ごろから明らかにごちゃ混ぜの雑多さの中に確かな洗練さをともないつつある。そう考えれば、あの1stフルアルバムほど完璧にノイズとハイファイさを兼ね備えたものはない。また銀杏BOYZを例に出して恐縮だが、ちょうど「光のなかに立っていてね」当時の銀杏をより高度に洗練させたような音楽をしていると思う。kanzakigawa→シングル奇跡頃の音源に特有だったハイとローをカットしたどこかローファイな音作りは鳴りを潜め、埋もれそうなノイズの中に鉄のように鋭いギターの響きを確かに感じさせるサウンドに成長している。一部の曲で取り入れられた打ち込みもうまく調和できている。主旋律の譜割りを見ても意図的に拍をずらした連符をアクセント的に取り入れていってるし、どんどんブラッシュアップされている。もうただの歌謡曲ではない。

SNSに注目するならば、最近のヤマトパンクスの振る舞いは「誰も傷つけない」ギリギリのラインを熟知したものに思える。俺はヤマトパンクスの振る舞いは完全に戦略だろう。まあそれは、バンドが大きくなったからには仕方ないのかもしれないが……。その中ではある種セルアウト的な振る舞いをしなければならないことがあるだろう、そしてヤマトパンクスはそれを完璧にこなしている。完璧にこなしているからこそ、俺からすればただ悲しい、そして疎外されたと感じてしまうのが。そう思えばCOASTのライブ、最後のMCで吐露した彼の素直な言葉を聞けて俺は本当に良かったと思う。彼の、このバンドを大きくしていきたいという本当に素直な思いを……。だからこそ、そう言ってくれたこそ、インターネットボーイの俺からすれば、これまでの、身内感というか、自分もシーンの一部でいれたという感覚というか、そういった感情から離れて彼らを一人のファンとして応援できるのだ。それは悲しいことでもあるが、いいのだ……俺みたいなやつは本来ただのいちファンでしかないのだから。でも、俺の大学生活、PK shampooがいてくれてとてもよかったと思うから、この2年ちょっとの間は、ミュージシャンとファンというよりも、同じシーンにいた“仲間”だったと思わせてほしい、錯覚でもいいから、そしてこれから先はただのミュージシャンとファンでいいから……。このバンドと、出会えてよかった.......。

ああそうです、この文はただの旧いファンの戯言です。俺みたいなオタクの妄言は無視してどんどん成功していってほしい。フジロックで歌うヤマトパンクスも、それはそれで見てみたいから。

 

ただ一点だけ、俺が老婆心で心配するのは彼の歌詞世界が限界に達してしまうんじゃないかということだ。市営葬儀で「暮らしのRHYME」を解禁したかと思えば白紙委任状では「繊細ごっこはどうやらおしまい」......ヤマトパンクス自身の内面を突き詰める方向性はそろそろ打ち切りにしたほうがいいと思う。俺はヤマトパンクスの抱く海のイメージがとても好きで、だから一番好きな曲は天王寺減衰曲線なのだが、ヤマトパンクスは海や宇宙に素晴らしい感覚の広げ方をできる人間だと思うので、そんな歌詞をもっと書いてほしい。シークレットトラックの曲もとても良かった(衛生都市計画も完璧に良かったから、ソロの続編も出してほしい)。

 

暗闇の中で具象と抽象を行ったり来たり

込める想いの蓋には重しを

水星より愛を込めて

桜宮に降る星は 架空潜望鏡で君だけが見ている

 

それでは。