【寄稿記事】トイレ戦争
※特定を避けるため一部修正された箇所があります
ーーー小4の昼休みーーー
校庭で遊び終わった同級生たちが汗を流しながら教室に流れ込んでくる中、俺は別の種の汗を流していた。
うんこがしたい。
もはやそれ以外のことは何も考えられなかった。垂れる脂汗、俺はよりによってこの昼終わりでトイレが混む時間帯に腹を壊す自分にキレながらも必死で肛門を締めていた。
昼休みの後には掃除タイムがある、もちろんトイレも掃除されるわけだ。もう掃除班がトイレに集まり始めていた。俺は意を決した。今しかない、と。俺は掃除班を押しのけ個室に入った。
しかし、その時だった。
うんこだー!!うんこ!!うんこ!!!
てめええええええええええ
初めて殺意を覚えた。そのトイレ班は全員小2、うんこが大好きなお年頃だ。彼らはうんこうんこと叫びながら俺の個室のドアを叩く。
そいつらにもう爆弾岩みたいな形のうんこしか出なくなる呪いをかけながら、俺は考えた。
今、ぶびびびびいぶぶぶぶぶぶぶぶうみたいな音出したら、絶対爆笑される
俺は自分呪った、なんでよりによって今腹痛なのかと。
俺は何もせずに堂々と個室を出た。その小2がどかどかと個室に入り中身を確認して、残ってなかった〜笑笑とほざいた。このときほど全員がライオンに食われライオンのうんことして生まれ変わるのを心から望んだことはない。
この瞬間、俺から我慢し切る以外の選択肢が消えたのだ。
俺は自分の掃除場所に向かった。俺は正面玄関の班の班長。ぷるぷると震えながら掃除をこなす。途中何回もトイレの方に視線を送ったが、わいわいと掃除をする下級生に恨み以外感情がわかなかった。もう絶望だ...
掃除が終わった。俺は掃除の反省会のために全班員を集めた。やった!!!終わった!!!
安心したのがいけなかった。俺はみんなこっちきてーーの「こ」くらいで手招きをしながらスーーーっとうんこを漏らした。
最悪の気分だった。
俺は次の授業中トイレに行ってひとしきり拭き、教室に戻った。後ろと横は女子。その後はずーーっとどうやって難を逃れるか(もう遅いが)について考えてた。
椅子にあさーーーーく座ったが、防災頭巾に茶色いしみができていた涙が出そうだった。しかもその授業では、教壇にいる先生のもとへ提出せねばならぬ課題があった。
くそくそくそくそくそくそ
俺はやけになり、態度で気づかれぬようできる限りの平静は装った。しかし、昼後の5時間目と最後の6時間目の間の休み時間、遠くから俺の方をみてニヤついている4人組がいた。万事休すか。俺の人生もこれまでか。
俺は意を決して話を聞いた。
お前の防災頭巾しみついてるやん!おしっこもらしたの??
おしっこだったーーーー!!!!こいつら馬鹿だーーーーー!!!!!俺喜びのあまりは爆笑して、漏らしてねえよ、と言った。
そう言っただけなのにそいつらは、ああ、光の反射で色が見えただけか笑と自分なり解決していた。まあなんかすっげえ助かったありがとう。
このまま逃げ切れる、そう確信し、俺に比較的元気が戻ってきた。
あれが起こるまでは...
6時間目後の帰りの会でそれは起こった。
音楽会のパートを決めるために一人ずつ立って少し歌ってください。と先生は言った。
は???今から?ケツに下痢便ついてる俺が?みんなが見てる前で一人立ち歌う??後ろ女子だぞ?におうよ?馬鹿なの?
この世に存在するすべての憎悪を塗り固めたみたいな感情になった。
出席番号順で歌うことになり、みんなはすんなりとこなしていく。こんなの楽勝なのだ。ケツにうんこがなければ...
とうとう俺の前のやつが終わり、怪しまれぬようすっと立ち上がる。後ろの女子、友達が可愛いと言っていた子だ。ごめん友達、その子の顔の前にはうんこがある、すまない。
臭ってないかな...歌なんてどうでも良かった、俺はただうんこのことを考えていた。上ずりまくり震えまくる俺の声、とうとう俺のパートが終わった。秒で座った。
帰りの会が終わり、速攻で帰って、母親にバレぬよう全てを洗った。
俺は逃げ切ったのだ!!!!!!
安堵のままに次の日学校へ行くと、俺だけ何故か高音パートだった。
いや、そんなにうわずってましたか?
【完】
P.S
ミルメークを溢したから授業参観の時に防災頭巾持って帰って洗ってほしいと親に伝えたら、うんこもらしたことバレた。
【本当に完】