ドミコ、このバンドを聴かずに2017年は終われなくない?
当初「2017年おすすめバンド特集!」みたいの書いてたけども、そんなネイバーまとめライクなことしても生産性ないなァと思ったから、今年ホントに聴いてほしいバンド一本で書く。
この駄文は趣味で書いてるワケで俺の音楽の趣味を人様に押し付ける積もりは毛頭無いし、自分の趣味を強要してくる輩はウゼェ~とは俺も思うけども、でもョ…。そもそも「この音楽いいから聴いて! 」っていう行為自体、単なる自己顕示欲を超えるものではないし、薄汚いエゴの発現でしかないとは思うんだが…
どうせ皆な正月休みでヒマだろ?
ヒマじゃねえやつがこんな零細ブログ読まないもんな。
このバンドの音楽性は~なんてオタクの御託(韻を踏んだ)はいいから再生してくれ。
ドミコ / こんなのおかしくない? (Official Video)
かっこいい…このMV、彩度がやたらギンギンの映像含めこのバンドの良さが凝縮されてる。
音像をたどれば、簡素な機材を用いたリフ主体のスカスカなギターはガレージ・ロックのそれだし、独特な浮遊感は中期のゆらゆら帝国的なサイケ・ロックを感じる。
ガレージにしろサイケにしろ2017年の邦楽の潮流からは外れた、いやむしろ逆行したオールドスクールなサウンドに違いはない。
四半世紀は古い音楽を追求しながらも、現代の貪欲なリスナーを頷かせるポップネスはいったい何処から湧き出てくるんだろう。
この手の(音楽性が突き出た)バンドにありがちな、大衆受けする音楽と自分らのやりたい音楽の狭間でギクシャクした音からは程遠い。自分の鳴らしてる音はかっこいいんだという確信が時代をも超越するのか。
そもそもこのバンド、二人組だ。
「三人よれば~」とは言うがその3分の2である。
どうやってこの音を鳴らすのか甚だ謎なんだが、YOUTUBEのコメント欄によれば「一本のギターにギターアンプとベースアンプ二つ繋げてる」らしいけどそんなこと可能なの?教えて。
ドミコ / ロースト・ビーチ・ベイベー (Official Video)
皆な、紅白観ましたか?最近の邦楽と言えば恋、愛、そんなんばっかで飽き飽き…じゃないですか(恋愛至上主義が一概にクソと言いたいのではない)。
安心してくれ。このバンドの歌詞は「世界観系」というか…、メロディ同様ふわふわしてる。言葉の響きが大事にされてるんだと思う。というかあんま聞き取れんけども。
日本のロックは死んだか。いま2017年にもなってこんなバンドが流行りかけてる。今年の秋に出た2ndフルアルバムも、極めて抒情的で、エネルギッシュで、このバンドの可能性をさらに拡張するものだった。俺は、このバンドを聴く限り、邦楽ロックはまだまだやれそうだと思う。
いまの邦楽シーンが退屈で仕方ない皆な、少しドミコに注目してみてくれ。いまこのバンド界隈のシーンは凄い面白いぞ。
そうそう、いまAWAっつー定額制聴き放題アプリが90日無料キャンペーンという狂気の行動に出てるんで皆な好きなだけ趣味の音楽をdigってみたらどうですか。ドミコの新譜もアルヨ。
正しさばかりのこんな世の中じゃ「仮面ライダー平成ジェネレーションズFINALビルド&エグゼイドwithレジェンドライダー」
俺は誰だ?レイザなのか?
間髪入れず、という言葉がこれ程似合う男もなかなかいない。ついさっき映画の感想をあげたと思うが早いか、悪びれもせず別の映画の感想をあげる。しかも公開中の、更によりにもよって、いかがわしいランキングで一位をとりお茶の間を沸かせ風の噂の種となっている映画を、である。当初はボルメテウス武者ドラゴンの記事を書いていたことを考えれば、これは驚天動地天変地異天地無用というほかない。
ヒーロー映画と言うともはやアメコミの庭である。商売っ気を抜いたが故にシンプルでヒロイックなヒーローたち。スーパーな男、ワンダーな女、クモ男にコウモリ男、ブラック未亡人。大して日本のヒーローはどうだろうか?ウルトラマン、アカレンジャーは良いとして、仮面ライダー。仮面ライダー?一番シンプルであるべき初代たちーーひいては「冠詞」とさえなり得る名前の時点で既に拭いきれない違和感が全方位一斉射〈ハイマット・フルバースト〉なのだ。
雑多さはこの記事の冒頭から顔をのぞかせている。現在公開中のアメコミ映画こそDCの「ジャスティス・リーグ」。そこへ「世界よ、これが日本のヒーローだ」と名乗りをあげるのが「仮面ライダー平成ジェネレーションズFINALビルド&エグゼイドwithレジェンドライダー」だと宣うのである。ジャポニカどもが笑わせる。
とにかく仮面ライダーは「仮面」というにも「ライダー」というにも中途半端なのだ。実際は「仮面」「ライダー」「ビルド」の「ラビット」「タンク」フォームだったり、「マキシマム」「マイティX」「ガシャット」と「ハイパー」「ムテキ」「ガシャット」をドッキングさせ「仮面」「ライダー」「エグゼイド」「ムテキ」「ゲーマー」になるのだからもうやっていられない。
この「前の単語と関係ない単語を言うゲーム」(面白い)の果てに生まれた闇鍋をパイのように頭部へぶつけられる感触。
率直に言おう。気持ち悪い、気持ち悪いほどに気持ちが良い。「これ」なのだ。
そもそもなぜこのような不可思議現象が起きるのか?答え(であって答えではないもの)は玩具が出せるから、である。スポンサーのバンダイへ利益を与え、見返りに予算をいただく。もはや癒着などという言葉では言い表せない二者の関係もエスカレート&エスカレーションを続けている。
しかし子ども向け番組のスポンサー、玩具というものは避けては通れず、現在放送している「ウルトラマンジード」「仮面ライダービルド」「宇宙戦隊キュウレンジャー」ではそれぞれ「ウルトラカプセル」「フルボトル」「キュータマ」というコレクションアイテムを「ジードライザー」「ビルドドライバー」「セイザブラスター」で読み込むという遊び方を提供している。一つ大きなアイテムを売り、それのプレイバリューをコレクションアイテムの波状攻撃によって拡大していく。
出番という点ではコレクションアイテムの価値は決して並列ではないし、どうしても満足度は逓減していくだろう。工夫がなされているとはいえ、後半は面白いおもちゃを買うというよりコレクションに重きが置かれていく。しかしそこに触れると「そもそもおもちゃを買う意味とは?」という第一命題コギトエルゴスムが炸裂するのでこれ以上はお前は誰だ?俺の中の俺
Come a world queue die.
近年の仮面ライダーの方法論として、モチーフを定めるということをやっていた。戦隊ものが兼ねてから行なっていたメソッドである。しかしさらに時間軸を現在へ近づけていくと、徐々にモチーフの複数化に気付くだろう。玩具の主軸となるモチーフと話の主軸となるモチーフ。
「エグゼイド」において、「ゲーム」と「医療」の二つを、「命」を使って見事に描ききった。そしてなんと「ビルド」はある種メタ的に、異なる二つを混ぜて創造するという現象そのものをモチーフにし始めるのである。
科学実験はともかく、今回のフルボトルの中身は笑いが涸れるほど無節操だ。ゴリラ、忍者、友情、が有機物。掃除機、ダイヤ、コミック、消防車が無機物。しかし平成二期ライダーも、探偵、魔法使い、戦国武将、幽霊かと思えば、メダル、スイッチ、ミニカーなどやはり無節操なのであった。
ここで、言っておきたいのは、平成二期(ダブル〜ビルド)仮面ライダーのベルトは基本的に「ドライバー」であり、アイテムを使わないベルトは「バックル」なのである。この認識をしっかり持っておくことが仮面ライダーたらしめる要素の理解への足がかりとなる。ドライバーとは「駆動装置」であり、アイテムから力を引き出すためのもの。初めてのドライバー、ファイズドライバーが変身ベルトの道具化を提示した。誰でも変身できることが強調された同作の人気とは無関係ではないだろう。
ディケイドがカードという形で仮面ライダーを抽象化し、ドライバーを再提示した。そして平成二期の始まり、「ダブル」はガイアメモリ というアイテムの導入によりその「可視化」の実現に繋がる。これが「ダブル」の偉大なところで、仮面ライダーたちが「仮面ライダー」の精神を、平成ライダーたちが「クウガ」の信念を受け継いでいるとして、確かに平成二期ライダーは「ダブル」の方法論を継いでいる。
敵も味方もガイアメモリというアイテムで変身する。もっともわかりやすい例がこれで、基本的に「力」は技術や精神ではなく、アイテムに属する。罪の十字架〈クロス・ファイア〉というのはおふざけではなくて仮面ライダーの初期名前案の一つで、常に敵と同じ力を以て戦うことが仮面ライダーの根源である。
今映画のラストで「仮面ライダーとカイザーの違い」が提示されたのも至極当然で、万丈の「仮面ライダーとは?」という問いへのアンサーの一部なのだ。玩具の量産化を逆手にとるようにして、仮面ライダーはよりその本質へ近づいていく。
それに力がアイテムに属するということは、逆に精神は依存しない。実のところ、変身できるとかできないとかは彼らにとっては関係ない。目の前の人を放っておけず、それを救うために伸ばす手が変身というプロセスになるだけ。悲しい過去を背負い、自分そのものとして変身を行う昭和の仮面ライダーとは全く異なる変身といえよう。異形の姿を宿す彼らはその変身から逃れることはできない。どこまでいっても彼らは仮面ライダーを背負う、その悲しみを仮面に隠して戦い続ける。一方でアイテムで変身する場合それが無ければ変身はできない。逆説的に、身一つになっても食らいつく精神性をこそ仮面ライダーと呼べるようになる。仮面ライダーは力の呼び名ではなく、力の使い方の呼び名なのである。
常日頃から提唱しているのだが、戦うのは「悪」と「正義の味方」である。「悪」はわかりやすい。弱者を自己のために振り回すことは悪と呼ばれる。しかし「正義」は難しい。なぜならば、見返りを求めてはいけないのが正義で、そんなことを実行できる人などいないからである。しかし現実には正義ではなく、正義の味方がいる。
映画のもう一つのキモとして、「何で見知らぬ人のために戦えるんだ?」という問いへのアンサーがここに顕在する。ライダーたちは各々闘う理由がある。伸ばされた手を掴むため、ダチを作るため、弱者を見捨てないため、未来へ繋ぐため、笑顔を守るため、ラブアンドピースのため。そこには理想がある。自分の信じる理想を正義と呼ぶ。その正義へ味方する生き様が、即ち正義の味方と呼ぶべきもの。
自分の正義のために戦うことが性悪説的に描かれるのがライダーバトルであり、性善説的に描かれるのがライダーの共闘という現象である。今回の映画であれば徹底的な性善説を感じることができるはずだ。誰に感謝されるわけでなくても、自分の正義には抗えないので、戦う。映画ならではの世界の破滅を目の前にしているせいでぼかされてはいるが、彼らは正義という仮面を被ったただの正義の味方であり、それは偽善者とも呼べるのだ。
力と意志、そして正義。玩具の過剰さと螺旋を描いて突き進む仮面ライダーなりの正義の在り方を強い軸にして創られたこの映画にしてようやく、ライダー映画はヒーロー映画として一つのステップを越えた。
アメコミの実写化にあって日本の漫画の実写化にあって然るべきものはただ一つ、愛である。予算や役者のNGなど、「原作」から二次的に創られるものは何らかの制約を受ける。その制約は映画の出来に関わってはくる。確かに、今回のレジェンドキャストたちも、スケジュールによってはこの映画のエンタメ性をより深く出来ただろう。予算が山のようにあれば圧倒的なVFXがファンの心を掴み、興行収入はうなぎのぼりかもしれない。
しかしこの作品には、そういったファン向けの部位以外にも、今まで10年弱描いてきた「平成二期ライダー」への猛烈なリスペクトがある。もちろんファン向けの描写を語ることも可能なのだが、ここまで語ってきたことはこの映画がここに存在する、その事実への感謝である。
そしてここから先、複雑怪奇な「仮面」「ライダー」はこれからも正義の仮面を被り続けながら、様々なモチーフ世界へライドしていくだろう。「どの世界にも仮面ライダーがいる」という勝利の法則。仮面ライダービルドは、全く関係ないものを組み合わせる、つまり仮面ライダーのメソッドを実践し続けている。メソッドがモチーフとまでなったのはスクラップ&ビルドの準備段階に過ぎない。「破壊者」ディケイド→ダブルの2010年から創り上げてきたものが、創造者ビルドによって破壊されまた創造されていく。日本のヒーローの一つの世代の終わり〈ジェネレーションズFINAL〉。何見の価値もあるはずだ。
お前は誰だ?「パーフェクトブルー」
どうもレイザです。ご無沙汰。
何か証というか標のようなものを建てるため、色んなものの感想を書く方向に変速〈シフトチェンジ〉していきます。
鏡に向かって「お前は誰だ?」と呟く日々を過ごしている俺としては実にタイムリーな映画を観ました。その名も「パーフェクトブルー」です。
まず質の高いこと高いこと山の如し。画面づくりのこだわりなんですけれども。マイルドな色調にテクノサウンドが重なってるんです。それはどうぶつの森にアマゾンがいるようなもの。マイルドな画面にマイルドな劇伴ではダメで、それこそホラーゲームで曲がり角にヤツがいる衝撃を演出するため、明らかな異質さを音楽が果たしている。
そう、逆にこの映画が演出しているのはむしろ地続きの怖さ。どこまでが現実なのか?どこまでが夢なのか?どこまでが此方か?どこまでが彼方か?どこまで自分?他者?真実?嘘?実体虚構生死覚醒日常異常写像欺瞞実像虚像鏡像虚虚虚嘘恐怖、全体に広がる不穏な不安、実体を持たない「漂い」がその実態。
だからこそ音楽はそこへの足がかり、第一歩として徹底的に機能させていて、散りばめられた演出、伏線、描写と一線を画す。引き立て、更にそれらをグズグズに混ざり合わせている。
いざ恐怖に出会うと高鳴る鼓動とともに「それ」に向き合わないとならないのに、終わりがない。音楽だけ止まってもまだ恐怖の残滓がそこにある。何故なら先刻の恐怖には終わりが無かったから。その残滓が積もり積もってクライマックスを何倍にも濃縮していく。
異常が引き立つのももちろんだけど、現実感の描写に余念が無い。ロトスコープも効果的。R-18だとは知らず観たけれど、煙草みたいに喉の奥に絡みつく性の臭いが表現されていましたね。あんまり性の臭いに詳しくないけど。現実味が俺にそう思わせてくれたんでしょう。
とにかく如何に嘘に立ち向かうかが現代の根本ではないかと思うのです。年代的にこの映画が世相を反映したとかではなく、裏に存在するテーマがアイデンティティに根ざしているからこそ、色褪せない愉しみになっているんだと思います。
ただ、大好きなところ。この映画で大好きなところは。これだけ嘘に満ち溢れていながら、最後には爽快な解明があること。これがキモで、明確に全てを解き明かし終わらせたわけではないけど、「何が嘘で何が真実かはわからない!」なんていうありきたりな話〈バニラ・フィクション〉には行き着いていない。「何が嘘で何が真実かはわからない、かも」という終わり方!こんなお洒落があるだろうか?最後には良い意味で観客の手へ物語が落ちてくる。アカレンジャーもびっくりのキラーパス。
ところでここまで書いて思ったけどどうぶつの森にアマゾンがいるって凄いファンタジーじゃないですか?タヌキチアマゾン。
あとパーフェクトブルーってちょっとデュアルガシャット・パーフェクトパズルを使ってパラドが変身するブルーがステキな仮面ライダー、仮面ライダーパラドクスを思い出すよね。ノルマ達成。
みんなも鏡に向かって「お前は誰だ?」って聞いてみてね。きっと5回目くらいでガチ辛くなります。俺は8回目で猛烈にシャワーを浴びました。また鏡があってもう何が何やら。水面も鏡。俺を越えられたら大したもんですよ。
人生初の整体が霊感商法だった件
どうも、ローマ教皇です(嘘)。
皆さんは整体って知ってますか?
皆さんは整体について何を知ってるんですか?
どうせ整体といえば、肩が凝ったり腰が痛かったり、そんな体の不調をほぐしてくれる場所だと思ってるんでしょう?
無知蒙昧。まあ僕もかつてはそう思ってたわけなんですが…
親に連れていかれた整体がどう考えてもヤバい空間でしかなかった件について😠😠😠
とある日、無知蒙昧な僕は母に連れられて八王子にあるらしい整体に向かっていた。母曰く「アンタ最近疲れてみえるワヨ」らしいがそんな気はしていなかった。まったく乗り気ではなかったが、友人Jが整体に通い始めて以来彼女が26人できてLINEの通知が鳴りやまなくなっていることを思い出し(嘘)ノコノコついてきた次第である。
世の喧騒が背負わせる荷物を少しでも下ろしてやろうという母の想いを噛み締めながら着いたのは八王子のあるマンションの一室。
マンションの前にカンバンがあるなんてコトもなく、まさに知る人ぞ知ると言った感じでひっそりとその整体は佇んでいた。
ーー真の名店は看板を出さない。おばあちゃんの言葉が胸いっぱいに広がる。無知蒙昧ゆえに、整体という存在に半信半疑だった僕の心は今や限りなく信頼で満たされている。意気揚々と「名店」の扉を開けるとそこには清潔で良い雰囲気の
ビィーーーーーィン!!…ピィィーーィン!!!……ボォーーゥォゥンォゥン!!!
!!??wwwww???wwwww
余りの驚きは横隔膜へ直接ヒット。これはまた整体さんの仕事が増えるな…と痛む脇腹と上がる口角を押さえて状況を把握する。
高音から低音までさまざまな種類の「音叉」の音が鳴り響いていて、耳を塞がねば正気を保てないほどの音量。
←音叉
……整体ってこういう感じなのか?普通違うだろ?…疑問符が埋め尽くす。そもそも何故母親は隠れた名店を知っているんだ?…疑問符が連鎖する。
しかしながら並べられていている靴は意外と多く、受診してる方はなかなか多い様子…。長いものに巻かれろと言っていた友人Jは先日アメリカの外務大臣に就任したし(嘘)マジョリティに与するのが多くの場合正解なのだろう。整体に行ったことのない癖に整体を語るなどと笑止千万無知蒙昧も甚だしいことこの上なし、もう少し進んでみよう。
待合室に入ってみると、やはり既に10人ぐらいの先客が。音叉の音は未だ鳴り響き、正気を失わぬよう待っていると、
整体師(男)「最近どうよ」
受診者(女)「あ!今日私、高尾山のパワースポット行って来たんですよー!」
整体師「おーいいねぇ!」
というスピリチュアルな会話が聞こえてきた。整体とは体を整えること。体と心は切っても切れない関係にある。ならば整体がスピリチュアルなのも自明だ。自明か?それとなく隣に座っている母の顔を見るが特に疑問には思っていないよう。
畳み掛けるように次のスピリチュアルな見た目の(オブラート)受診者(女)は
スピリチュアルな見た目の女「先生ー、今日△〇寺に行って来たんですけどー、御堂に入ったらなんか声が聞こえたんですよ!」
整体師「へー!ついに覚醒したんだ!」
!!??wwwwwwwwww????wwwwwwwwww(笑死)
隔世拡声鶴声学生楽聖覚醒… カクセイ?覚醒のカクセイ?
声が聞こえて覚醒!!?🖕🕺🖕?!!醒覚てえこ聞が声
警報機作動、ビィィーーーーィン!ピィィィィン!(音叉の音ではなく疑念の種が割れ確信の花が咲いた音)
というかそんな「機種変したんだ」みたいなノリで覚醒すんなよ。覚醒ポーク(オブラート抜き)の渾身の土俵入りに正気の体力はもうゼロよ。
即座にスマホを起動、"八王子 整体" "八王子 整体 音叉"とググってみるも、それらしいものはヒットせず。
しかし母は何食わぬ顔。いや、息子の僕には解る、解ってしまう。本当は母だって心中穏やかではないはず…しかし母が焦って果たして息子が安心できようか?目覚めてしまった豚を前にしてなお毅然とする母の顔を見て心が涙を流す。そうだ、忘れてはならない。子どもを祝福する親の祈りーーお互い短い人生のうち、どれだけそれに応えてやれるだろうか?親孝行。それ以外の単語を辞書から絶版していく。
…
「××さーん(僕の名前)」
親孝行親孝行…ついに順番が回って来た。何故か母と同時に呼ばれたんだが、こんなことじゃもう動揺しない。親孝行👨👨👦👦(ジェンダーフリー実現への先進的アクション)
「んじゃ、うつ伏せになってェ」
整体師のオッサンの見た目は想像より普通だった。Mr.マリックが登場すると思ってたらエスパー伊東くらいのガッカリ感。
エスパー伊東はうつ伏せになった僕の足を真っ直ぐに整え、足の裏がハの字になるようにして、腰の上でボールペンのような物をカチカチッと鳴らす(ちゃんと見えていないので想像)。これを繰り返す……
繰り返す……
…
(エスパー伊東の一仕事終えた溜息)
…
……え?
終わり?
お前よくそんな摩擦係数ゼロの仕事量で一溜息に疲れと哀愁を込められるな?エスパーかよ
「んじゃパワー入れるからねー」
戸惑いを隠せない僕に追い討ちをかけるように、伊東は例の音叉を至近距離で鳴らしてきた。
ビィーーーーーィン!!…ピィィーーィン!!!……ボォーーゥォゥンォゥン!!!
その音のでかいことでかいこと!鼓膜が震えてるのがわかるぐらい爆音。まさに爆音スランプ。古代中国の拷問だと説明されたら信じるレベル。音叉を操作、連鎖する怨嗟あれ怨嗟っておんさじゃなくてえんさなんだごめんさ
思考は上滑りし正気は迷子。気が付けば帰路に就いていて、結局一連の施術の意義は教えられなかった…(聞けば教えてくれたかもしれないが一刻も早く立ち去りたかったし僕はコミュ障😢😿😂)
結局体は良くなってないし、得たものと言えばこの入れてもらったスピリチュアルパワーのみ、か…(手を触れず息のみで目の前の陰毛を吹き飛ばす)
さてさてご視聴ありがとうございました!どうでしょう、これでいくらだと思いますか?皆さん!
ーーでも、お高いんでしょう?
そう(無慈悲)、たったこれだけでお値段4500円!そして初診だった僕はさらに4500円上乗せで9000円!!
は?😠😠😠9000円あったら何できると思ってんねん。何食えると思ってんねん。初診で上乗せってディアゴスティーニ見習えやバカ。どこのディアゴスティーニが創刊号値段倍にするんだ?どのソシャゲがデビューガチャ金額倍にするんだ?
ディアゴスティーニにも劣る胡散臭すぎ料金に一周回って性欲すら感じつつ、いつのまにか手に滑り込んでいた料金表に目を落とすと、
『魂次元上昇カード(6ヶ月間有効) 95000円』
はいはい最後の最後にでかいのが来ましたねェ。あれ、これカードショップのチラシかな?wwwwもっかい見よ
『魂次元上昇カード(6ヶ月間有効!) 95000円』
うーん、これはアリよりのなし!w
有効期間ってなに?6ヶ月経ったら高まっていた魂次元がまた下がるってこと?魂次元ってなに?魂を構成するベクトルの本数?あれ、わからないことなんて何も無い?無知蒙昧な俺は今や過去?全知全能?わからないことがわからない。俺と宇宙にはわかる。一度四次元に行ってしまえばもう戻ることはできない。We can’t get back to the past.
何もかも嘘まみれ。
皆さんも親に謎の整体に連れていかれそうになったら何次元高みへ上るかわからないので気を付けましょう。親の間違いを正せるのは子たるあなただけですよ。祈りは得てして呪いに変わるのです。
蔓延る嘘に囚われず常識を捨てること。差別を無くし、皆が等しく扱うこと。あらゆる魂が導かれ整う体制。これ即ち整体……
ーー皆さんは整体について何を知ってるんですか?
おわり
バカ「見てるだけでお腹いっぱいになるよ~」
バカは飯テロということばも知らないのか…
飯テロとは、食欲をそそる料理や食べ物の画像(唐揚げ、ラーメンなど)をweb上にアップし、見る者を空腹感で悶えさせるテロ行為のことである。
(はてなキーワードより引用)
もし本当に「見てるだけでお腹いっぱい」現象が起きるんなら世界の食料問題はとっくに解決してるっつーの(一同笑)
じゃあバカはこの画像でも見てお腹いっぱいになってくださいね(笑)
…ていうのを書こうとしたら見つけた記事がこれ↓
https://gigazine.net/news/20101213_imagine_all_the_treats/
あゝやんなっちゃった~